中国の知恵を試す時が再来
3者が「国を跨ぐデータの自由な流通」を基準とするデジタル貿易ルールをWTOに提出すれば、2つの結果がもたらされる可能性が高い。この2つの結果はいずれも根本的に、世界のデジタル経済の構造とルールを形成することになる。うち1つ目は、先進国と発展途上国がこのルールをめぐり、数年にも及ぶ可能性が高い長期的な交渉を展開する。この期間中、一部の先進国と発展途上国は二国間協定を通じ2大陣営に加わり、双方から漁夫の利を得るかもしれない。2つ目の悲観的な状況は、ルールをめぐる交渉の決裂により、世界でルールの異なるいくつかのデジタル経済市場が徐々に形成されるということだ。
中国はこの交渉で極めて重要な、極めて微妙な役割を演じる。中国は現在、デジタル経済の規模が世界最大の国の一つになっており、デジタル産業の革新力と国際競争力が日増しに強化されている。そのため中国はデジタル経済のグローバル化と自由貿易の推進で、より大きな利益と自信を持っている。その一方で、中国はサイバー安全リスク、データ安全リスクで置かれている状況が多くの発展途上国に近く、西側の技術的な脅迫や「遠隔操作」を受けることを望んでいない。これにより中国は交渉の際に、安全面の要素やその他の発展途上国の態度を十分に検討する必要が出てくる。中国はこの交渉で国益に十分に配慮し、発展の長期的な視野を持つ必要がある。(筆者・李崢 中国現代国際関係研究院の学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年1月10日