5兆2500億円の防衛費を含む日本の2019年度予算案が3月27日、参院本会議で成立した。
安倍政権による巨額の防衛費の維持は特筆すべきことではない。安倍政権が発足した2013年より、日本の防衛費は4兆7500億円から現在の5兆2500億円へと、実に7年連続で記録を更新している。安倍政権は昨年末にこの2019年度予算案を発表した。連立与党の自民党と公明党が国会で絶対的な優位性を占めているため、参院での成立は一つの手続きを踏まえたに過ぎない。
日本の防衛費が毎年増加していることは表面的な現象に過ぎず、その裏側には「軍備強化」により戦後レジームの束縛から脱しようとする安倍政権の国家戦略がある。安倍政権は2018年12月に防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を見直し、「軍拡」を制度化していた。防衛計画の大綱を日本という国の軍事戦略の総方針とするならば、中期防衛力整備計画は「購入リスト」のようなものだ。いずも型ヘリ空母の改造、18機のF-35Bステルス戦闘機と27機のF-35Aの導入といった中期防衛力整備計画による一連の措置が、巨額の防衛費を必要とすることは間違いない。そのため日本の防衛予算は今後数年内に増加を続けるとみられる。
「無制限の予算」を持つことは圧倒的多数の人の夢だろうが、これはあくまでも夢に過ぎない。現実の世界において、予算を増やすためにはまず、その資金をどこから持ってくるかという問題を解消しなければならない。安倍政権にとって最も理想的な状況は、アベノミクスが十分な予算を提供することだ。アベノミクスは一時、大きな成果があったと判断されていたが、年初に発覚した厚生労働省による統計データ偽造問題により、アベノミクスの前向きなデータは間違った統計に基づくものとされるようになった。アベノミクスの実際の効果をいかに評価するかについては、今後の経過を見守る必要がある。