実際には、GAFAのような巨大企業がデータを独占し、中小企業を圧迫し、公正な競争環境を阻害しているとの危機感が日本で沸き上がっている。このまま放任すればネット上の競争において、日本企業はプラットフォームを海外に握られ、すべてのビジネスがGAFA経由でなければ成り立たなくなる。実に由々しい事態だ。しかもGAFAが巨大な資金力を背景に有望な新興企業を相次いで買収し、傘下に収めていることも無視できない。たとえばグーグルはユーチューブを、フェイスブックはインスタグラムを買収した。GAFAはライバル企業を買収することで本来あるべき競争を回避し、寡占化を加速させているわけで、必然的に消費者の選択の幅を狭めている。
そのため日本政府は独占禁止法の「優越的地位の乱用」条項を適用することで処理しようとしている。さらに独禁法を補完する方向で、「重要な取引条件には開示を義務付ける」ことなども検討している。
それでは日本企業がGAFAとの勝負に勝つにはどうすればよいのか。日本政府が公正な競争環境を整えるのは当然のことだ。とはいえ政府が日本企業を保護するがゆえに、外国の企業を独禁法で排除するようなことになっては上策ではない。肝心なことは日本企業の国際競争力を高めることだ。幸いにも日本は世界規模で展開中の「第4次産業革命」のうねりのなかで独自の地位を手にしている。これはつまりGAFAが得意とする「バーチャルデータ」の分野と対極にある「リアルデータ」の収集と蓄積だ。
具体的には個人データではなく、産業データの活用を図る道のことだ。GAFAが手をつけていない分野で日本が先行しているのは、「個人の健康・医療・介護データ」や「製造工場の稼働データ」など、個人のネット売買とは異なるリアルデータだ。こうした分野では日本はリーダーとしての地位を占めている。日本の基幹産業を形成する「自動車等の製造業」や「ヘルスケア」の分野では、日本企業の持つデータはGAFAをはるかに凌駕している。そのため産業データをいかに十分に活用するかが、日本企業が最終的にGAFAに勝利できるかを左右する。(筆者・浜田和幸 元総務大臣政務官、元参議院議員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年4月8日