スタジオジブリが2001年に制作・公開した宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』、ディズニー/ピクサー映画『トイ・ストーリー4』が21日に中国で同時上映された。ところが予想外にも、この北米と同時公開された最新のアニメ映画は、18年前の日本の古い作品に敗北を喫した。
本記事掲載前、『トイ・ストーリー4』の中国本土市場の興行成績は9840万元で、『千と千尋』は2億1000万元。また『千と千尋』の映画館上映枠に占める割合は30.8%で、『トイ・ストーリー4』は16.3%のみ。これらのデータは市場で『千と千尋』の人気が高いことを反映している。北米市場では口コミで評判の良かった『トイ・ストーリー4』の興行収入が1億1000万ドルを突破したが、中国本土市場の1週間の興行収入は北米の同期の9分の1に留まった。2つの大作アニメ映画が同時公開されたが、興行収入になぜこれほど大きな差が生じたのだろうか。新京報は映画館を取材し、市場の裏側に隠された秘密に迫った。
ロケットスタートに失敗
『トイ・ストーリー』の中国本土における興行成績はこれまでも振るわなかった。2010年に国内で上映された『トイ・ストーリー3』の興行収入は1億1700万元で、同年のトップ25にも入らなかった。
『千と千尋』は現在まで英語圏以外では唯一アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した作品であり、同時にベルリン国際映画祭でも金熊賞を受賞し、日本映画市場最高の興行収入を叩き出した。口コミも質も『千と千尋』が『トイ・ストーリー』に勝っている。
文化的な親しみも
『トイ・ストーリー』は今から24年前の1995年公開で、中国の多くの若い映画ファンにとって懐かしい作品とは言えない。『千と千尋』は多くの観客にとって親しみやすい。
長年に渡り映画業界で働いている李玉霖氏は記者に対して、次のように話した。
両作品の興行収入は、作品への文化的な親しみを反映している。ここ数日、映画館には宮崎監督の多くのファンが集まっている。もう何度も見たことがあるが、映画館での体験は一味違う。日本のアニメと中国人の間の距離は、ハリウッド映画よりも近い。また作品中の龍、神、呪いなどの東洋の元素はアジア諸国の人々に通じる文化だ。また一部の映画ファンは今回の鑑賞を通じ人生を振り返り再認識している。これは『千と千尋』が老若男女に愛されている理由でもある。アニメ産業を見ると、ピクサーは中国本土で、日本のアニメほど長く注目されてきたわけではない。中国の若い世代にとって日本のアニメは懐かしい思い出であるが、ピクサーは2003年に『ファインディング・ニモ』でようやく中国本土に進出した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年6月25日