インド北部で混乱が発生したため、日本の安倍晋三首相は今月中旬を予定していたインド訪問の延期を余儀なくされた。日印軍事協定を持ち訪中し、中日韓首脳会議に出席する計画も空振りとなった。年末に安倍氏の外交を振り返ると、対ロシア、朝鮮、韓国、さらには米国などで特筆すべきことがなく、来週の成都市訪問は今年最後の点数稼ぎのチャンスになりそうだ。
日露関係にはまったく進展がない。安倍政権は今年も日露の「共同経済活動」の推進を模索したが、ロシアは態度を軟化させなかった。いわゆる「共同経済活動」とは、プーチン大統領が2016年12月に訪日した際に安倍氏が提案した、領土問題解決の新たな構想だ。共同開発という手段により、両国間に領土問題が存在することをロシアに黙認させることがその実質だ。しかしロシアは、「共同経済活動」はロシアの法律のもと行われるべきと表明した。これは日本からの提案を断ったに等しい。プーチン氏はさらに、露米関係が改善されなければ、日本が対露関係で大きな一歩を踏み出すことはなく、領土問題の解決を目指すだけに過ぎないと考えており、そのため日本に対してそれほど大きな期待を持っていない。
日朝関係に進展の見通しはない。長年に渡り米国に従い朝鮮制裁を主張してきた日本は、米朝会談から大きな衝撃を受けた。日本は米朝が自国抜きで合意に達することを恐れており、そのため朝鮮に圧力をかけ続け、核兵器の放棄を迫り、拉致被害者を返すようとしている。しかし朝鮮は日本と核問題について協議することはなく、かつ拉致問題も解決済みとしている。日本はさらに朝鮮問題をめぐり世界で孤立することを恐れ、今年5月に朝鮮側に無条件対話を提案した。朝鮮側は日本からの提案に留意すると表明したが、その後進展はない。朝鮮は拉致問題は解決済みという姿勢を崩しておらず、日本は拉致問題が解決されなければ制裁を解除しないとしている。無条件対話が実現しても実質的な進展は厳しい。
日韓関係は膠着状態に陥っている。徴用工問題を巡る韓国の判決を受け、日本は半導体製品の対韓輸出規制を実施したが、これは実際には韓国のハイテク及び経済に対する制裁だ。両国の歴史問題は貿易摩擦に転じた。韓国は報復措置として、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を検討した。その後米国の圧力を受け条件付きで延長したが、両国の対立に緩和の兆しはなく、国民感情が冷え込んでいる。歴史問題で劣勢に立たされていた日本は経済の手段により韓国を懲らしめた。また安倍内閣は日本国民の不満を韓国に向けさせた。しかしこの外交を犠牲にし国内の視線を移す方法は政治の成果に数えがたく、国益の損失を補うことができない。