東京フィルハーモニー交響楽団の広報渉外部部長で西洋音楽史専門家の松田亜有子氏はこのほど、『週刊ダイヤモンド』の取材に応じ、中国のクラシック音楽の最新状況について詳しく紹介した。中国は日本をはるかに超え、「音楽大国」になっているという。
世界の歴史を振り返ると、音楽や芸術などの文化の繁栄は先進国ではなく、当時最も発展の速かった国で始まった。音楽教育の角度から見ると、日本の学校にもクラシック音楽の授業が行われ、松田氏は日本と中国の最大の違いは「オペラの扱い方」だと考える。オペラには多くの役者が必要で、舞台芸術も要求され、公演コストが高い。日本の観客は、「オペラ鑑賞」は「コンサートを聴く」よりかなり高額だというイメージを持っている。しかし中国では、学校教育でも、オペラをクラシック音楽の源として学生にしっかりと教える。記事によると、深センの学校教育プロジェクトは、深セン交響楽団や深セン音楽ホールに親子向けオペラ公演を行うよう求め、満席となっている。北京の国際学校もウィーン国立オペラ座など世界トップクラスの団体のメンバーを招き、オペラ公演を行なっている。また、多くの中国人オペラ役者が世界の舞台で活躍し、帰国した際に母校の学生に教え、人材育成の良好な循環が形成されている。
「環境教育者」である松田亜有子氏は、「欧米ではオペラを朝3時まで鑑賞し、終わる時間にレストランがまだ営業しており、街全体が芸術を楽しむ雰囲気になっている。中国も、韓国も同じ」だと話す。
劇場は社交の場にも、ビジネスの場にもなる。日本新国立劇場は公演を鑑賞する以外、その他の面の体験は「粗末」と表現できる。
芸術を全面的に楽しむという点において、中国は欧米から多くのことを学んだ。中国の音楽業界は国際標準を大いに取り入れ、安定的にグレードアップしている。2020年5月、深セン交響楽団は招請に応じて日本で公演し、費用は日本側が全額負担した。過去に北京、上海、広州などの交響楽団も日本で公演を行ったことがあるが、食事・宿泊費などは自己負担だった。今回の日本側の積極的な姿勢から、中国の音楽レベルがアジアで認められたと見られている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年12月23日