日本における新型コロナウイルス肺炎の感染確定者は4日現在、1032人にのぼる。感染状況が深刻化するなか、日本政府の対応の方針が定まらず、人々を困惑させている。最近になり新規感染者数が減少しているが、日本の感染対策はお粗末との声も多い。これはなぜだろうか。
これは日本社会が感染対策について、楽観と慎重という2派を形成しているためだ。現在も日本政府及び経済界などのエリート、さらには一般人もこの2派に分かれている。
日本には今年多くの重要外交・経済イベントがあり、東京五輪という得難いイベントもある。そのため一部の政府当局者と医療専門家の楽観派は、感染状況への不正確な判断により不要の恐慌を引き起こし、五輪特需に影響を及ぼすべきではない。さらには企業の経営に衝撃を及ぼし、そもそも低迷している経済を破壊すべきではないとしている。感染に過度に反応し悪影響が生じれば、より深刻な後遺症が残されるというのだ。そこで彼らは日本の全体的な医療水準、感染症への総合的な対応力、国民の防護の素養に自信を抱くべきと強調している。これらの楽観派の主張は現在も、日本である程度歓迎されている。
その一方で、日本の一部の地方自治体、専門家、民間団体の慎重派は、政府の喫緊の課題は感染対策であるとしている。政府の現在の基本方針は感染リスクへの重視、危機意識、緊急管理の意識、当事者意識が欠けており、集団的な活動の規制や小中学校の休校より厳しい措置を講じるべきとしている。その典型的な例は北海道で、2月28日に道全体の緊急事態を宣言した。各国で感染が蔓延するなか、慎重派の懸念は多くの国民と在日外国人の共鳴を起こしている。
重要なのは感染拡大が続き、民間で医療用品や関連用品の買い占めが発生するなか、2派が現在はどちらが正しいかを争う時ではないと知っていることだ。より揺るぎなき共通認識を早期形成し、多くの国民から賛成を得て恐慌を抑える協力の雰囲気を醸成し、各界に行き渡る効果的な措置を打ち出すことが喫緊の課題だ。そうすれば楽観派の願いも叶い、慎重派の懸念も自ずと解消され、さらにはその過度な失望もかき消えるだろう。安倍首相は先ほど、「緊急事態基本法」及び「新型インフルエンザ等対策特別措置法」などの改正を検討すると表明した。この間違いを極力訂正し恐慌を避けようとする姿勢、それから社会の新たな共通認識の形成、新たな実務的措置の強化があれば、日本社会の一部の人が想像するほど日本が感染症に打ち勝つ日は遠くならないだろう。(筆者:笪志剛 黒竜江省社会科学院北東アジア研究所所長、研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月5日