日本列島は近年、すでに得られた「輝き」に喜ぶと同時に、「輝きはいつまで続くか」という焦りも深めている。英学術誌「ネイチャー」は2017年に、日本の「科学論文数のシェアが急低下」「科学研究能力の失速」を指摘した。これは大反響を呼び、「失われた科学者」「ノーベル賞を受賞できない日本」「科学立国の危機」といったタイトルが紙面、さらには書籍の表紙に記されるようになった。
日本の文部科学省が今年8月に発表した「科学技術指標2020」によると、20年前と比べると(2016−18年の平均と1996−98年の平均の比較)、日本の優秀論文と高品質論文(被引用回数が10%内と1%内の論文)の数が半分以上も減少しており、論文数の世界ランキングが2位から4位に低下している。
さらに日本を懸念させているのは、科学技術発展の今後の原動力の不足だ。自然科学を専攻する博士課程の院生が大幅に減少し、科学技術研究者の後継者が不足している。海外留学が振るわず、高等教育が「ガラパゴス化」の危険に直面している。日本経済が長期的に低迷し、研究費がカットされ、基礎研究の投資が不足し、多くの国立大学も資金不足に陥っている。そのため日本の知識界による、今回のノーベル賞の冷え込みへの懸念は杞憂ではなく、科学の「爆発力」には堅固な基礎が不可欠だ。(筆者・馬成三 日本在住の華人学者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年10月19日