バイデン氏も日本が日米関係において注意するのが、釣魚島と日米安保条約に関する米首脳の約束であることを熟知している。正式な就任前に日本側に態度を示すことで日本を抱き込み、自身の「当確大統領」としての正当性を強化した。当然ながら米政府高官の唆しは、日本の釣魚島問題をめぐる中国対抗の気勢を強めた。例えば日本の反中勢力は釣魚島に上陸し、塔を建設するとたびたび言いふらした。日本政府は2012年に、釣魚島の「国有化」を強引に宣言し、中日関係を急激に悪化させた。米国の釣魚島問題に対する干渉は、意図的に中日の間に楔を打ち込み、中日関係の正常な発展を妨げると言える。
バイデン氏の就任後の対中政策については、現時点ではまだ断言しにくい。しかし菅氏との通話で日米同盟や釣魚島問題について発言した内容、それからオバマ政権における経歴と結びつけると、バイデン政権の対中政策が従来の「アジア太平洋リバランス」戦略を引き継ぎ、アジア太平洋事務に積極的に参与する可能性が高い。日本の中国対抗、南中国海問題における攪乱などを奨励もしくは黙認することで、中国をけん制するだろう。
実際に日本もある程度、米国の「駒」になりたがっている。中国が台頭を続けることから、日本は常に米国のアジア太平洋の外交における中国「重視」、日本軽視を懸念している。例えば時のオバマ大統領は2011年の一般教書演説で、中国の競争力を何度も強調したが、日本には一言も触れなかった。これは当時の日本の朝野に大きなショックを与えた。そのため日本は釣魚島問題の喧伝を通じ米国に態度を示させることで、米国との関係を強化し重視してもらおうとしている。
バイデン氏がまだ正式に就任していないが、改善と発展を続ける中日関係はバイデン政権の今後の釣魚島などの介入・干渉により、再び低迷に陥る可能性が高い。中日関係が2012−17年に渡り長期的に低迷したのは、安倍政権が中日友好を損ねる一連の措置を講じたためであり、また安倍政権が積極的に米国の「アジア太平洋リバランス」戦略のお先棒を担いだためでもある。中日関係の改善は得難いものであり、両国がいっそうこれを惜しみ、共に守る必要がある。日本側が引き続き中国側と向き合い歩み寄り、両国間に存在する食い違いを適切に処理することで、中日関係の新たな未来を切り開くことを願う。(筆者・陳洋 遼寧大学日本研究センター客員研究員、メディア関係者)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年11月16日