ある日本メディアは、日米双方は4月16日の首脳会議で半導体分野の協力に関する合意に達し、両国は連合チームを結成し、半導体産業の研究開発と産業分業を共同で進めると報じた。日本のこの行動はバイデン政府に好意を示すための外交目的、米国が近く打ち出す半導体刺激資金を取得するためと見られている。また、日米の今回の連携のターゲットは中国の台頭するチップ産業で、両国は排他的な半導体生態圏を形成し、中国の産業発展をより厄介にしようと模索しているとの見方もある。(李崢 中国現代国際関係研究院美国研究所副研究員)
米国が中国の半導体産業に圧力をかけようとするのは今回が初めてではなく、最後でもない。トランプ政権時期、米国はサプライチェーン断裂という方法で中国のチップメーカーの技術グレードアップを阻止し、華為と中芯国際は最も影響を受けたリーディングカンパニーとなった。バイデン政権発足後もこの手法は続き、競争戦略を切り換えようともしている。バイデン政府は「民主サプライチェーン」計画を打ち出し、インド、欧州、日本、韓国などの米国とのサプライチェーン再形成を推し進め、中国供給に代わる新産業生態を形成しようとしている。米国は、このような方法は西側企業の産業と技術の中国移転の動きを弱め、中国の産業グレードアップのコストを引き上げることができると考えている。
米国のこのような方法には保護貿易主義の色合いがあり、世界の半導体産業チェーンに悪影響を及ぼした。新型コロナウイルス流行期間、世界は稀に見る半導体供給危機に直面した。コロナが各国の生産活動に影響を及ぼしただけでなく、米国の中国チップメーカーに対する輸出規制はこの危機を招いた主な要因である。チップ危機は連鎖反応を起こし、世界の自動車、電子製造、新エネルギーなどの分野にも影響が及んだが、世界の自動車産業大国である米国が受けた影響は特に深刻だった。まさに自業自得と言える。
また、圧力で中国半導体産業の発展を制限しようという米国の企みは実現しないばかりか、逆効果になった。5月5日、日本の日経新聞は中国半導体産業の発展に関する長文記事を掲載し、中米科学技術戦は中国半導体産業台頭の「秘密兵器」だと論じた。米国の圧力を受ける中で、中国は半導体産業チェーンの整理を加速化し、競争力を持つ「隠れたチャンピオン」を形成した。中米科学技術戦が中国の開放革新ニーズを変えることはなかった。中国のメーカーは海外の先進的な半導体設備と海外人材の誘致を強化し、自主革新とローカルサプライチェーンを重視した。これは中国半導体産業の生態を根本から変えた。
現在、中国半導体産業の人材密度、資本密度、互換性は向上している。一部の本土の「隠れたチャンピオン」は西側の技術と人材を導入して急成長し、西側企業に対する競争力と代替可能性を形成した。このような変化により、中国半導体産業は粘り強くなり、産業チェーンは整備されたが、この産業チェーンの世界と高度につながる市場開放環境は変わっていない。最近のチップ危機は中国の半導体企業に生産拡大・グレードアップの絶好の機会を与え、西側産業チェーンの生産能力と技術との差は縮める可能性がある。