このような変化に、米国の戦略界と政策決定層は衝撃を受けた。実際、米国の政策決定層は科学技術競争と国際政治競争の違いを理解しておらず、誤って地政的思考を中米科学技術競争分野に取り入れ、中国半導体に「神がかったアシスト」をしてしまった。
まず、科学技術競争分野の主導力は政府より強いこともある。世界の科学技術産業チェーンはユーザーの最終ニーズを満たし、技術が商用化されなければ、その技術価値を発揮できず、資金を取得してその後の研究開発を進めることは難しい。そのため、政府の干渉が招いた市場変動は政策決定者の予想を上回る可能性がある。例を挙げると、2019年、日本は韓国に対して半導体材料の輸出を禁止し、韓国半導体産業の競争力を弱めようとした。しかし、この行動は日本メーカーの韓国や中国での「代替性産業チェーン」形成を加速させ、日本の産業チェーンの優位性が失われた。中米科学技術戦にも類似の効果が見られる。
また、科学技術競争分野の粘り強さは優位性より重要である。現実主義の国際政治思考は、国同士の競争はトレード‐オフのゼロサムゲームだと考える。優勢な方がその実力を生かして権勢を形成し、相手の発展余地に圧力をかけるべきである。しかし、資源流動と権勢転換が速い科学技術分野において、実質的意味の「急所」と「次元降下ダメージ」は存在しない。どの国も科学技術の進歩から振るい落とされるリスクに常に直面し、本当の「安全ゾーン」にいる国はない。このような条件下で、各国が競争しているのは科学技術進歩の影響が絶えない中での国の粘り強さで、整備された産業チェーン、サプライチェーン、国際科学技術界とのリンクといった科学研究体系を含む。
以上のことから、米国の中国に対する様々な陰謀と陽謀は中国の科学技術発展を左右する要因にはならないとわかる。中国が開放革新と市場適応性の発展の道を歩み続ければ、中米科学技術戦で形成した粘り強さは中国の今後の科学技術競争の強みになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月14日