改憲の鼓吹 日本の政治家の真の狙いが浮き彫りに

中国網日本語版  |  2022-03-15

改憲の鼓吹 日本の政治家の真の狙いが浮き彫りに。現時点では期待できないにも関わらず、岸田氏はなぜ改憲を鼓吹したのだろうか。実際には、岸田氏は昨年のうちにこの「熱意」を示していた。岸田氏は衆院選後、「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改名した…

タグ:改憲 政治家 参院選 

発信時間:2022-03-15 15:11:40 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 先ほどの自民党大会で、岸田文雄首相は平和憲法の改正を「重要な課題」にすると表明した。この動きは一部に唐突な印象を与えた。岸田氏は「ハト派」ではないのか、なぜ安倍晋三氏のように改憲に熱心なのか、これは日本の政策に「重大な変化」が生じることを意味するのではないか、と。


 まず、現在の日本の政治家を観察する際には、そのレッテルを見るのではなく、その発言を聞き行動を観察するべきだ。岸田氏が「宏池会」出身だからと言って、単純に自民党内の「ハト派」と定義づけ、そこから岸田氏が改憲や安全の議題について比較的温和な立場であると判断してはならない。実際に過去の宏池会は現在の宏池会とはまるで「別人」だ。過去の基準を現在の事実に当てはめようとすれば時代遅れだ。


 次に、日本には現在、改憲に成功する可能性はあるだろうか。日本の憲法は「硬性憲法」と呼ばれ、改憲は衆参両院の3分の2の賛成後、国民投票で過半数の賛成を集めなければならない。そのため改憲が成功するためには、国会と国民投票という2つの関門があり、難易度が高い。現状を見ると、衆議院では自民党、公明党、日本維新の会などのいわゆる「改憲政党」の議席が3分の2のラインを突破しているが、参議院ではこのラインに達していない。「改憲政党」の議席数が衆参両院でラインに達したとしても、改憲が順調に進むわけではない。これらの政党は改憲に着手できると考えているが、主張には大きな差がある。例えば自民党は9条改正の主張に力を入れているが、公明党はこれに強い不快感を示しており、維新の会の主張も異なる。そのため議席数が十分であっても、さらに長い道を歩まなければならない。ましてや国会を通過したとしても、国民の過半数の賛成を集められるかは今のところ不明だ。総合的に見て、筆者は短期間内の改憲には実現性がないと見ている。


 それから、現時点では期待できないにも関わらず、岸田氏はなぜ改憲を鼓吹したのだろうか。実際には、岸田氏は昨年のうちにこの「熱意」を示していた。岸田氏は衆院選後、「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に改名した。岸田氏は12月に自らその会議に出席し、「自民党の総力を結集し改憲を実現する」と述べた。首相がこの会議に出席するのは異例だった。


 岸田氏が改憲にこれほど「熱意」を持っていることには、次のいくつかの理由がある。


 (一)次の参院選に向けて。岸田氏が自民党総裁(3年)の任期を満了するためには、今夏の参院選が唯一の関門となる。この関門を突破すれば、岸田氏が衆院を解散しないかぎり、その後の3年間に国政選挙が行われることはない。参院選がどうなるかは、岸田氏のその後の政権運営にとって極めて重要だ。改憲は自民党の中核的な支持層の訴えであり、改憲を公言するのはこの有権者に取り入るためだ。


 (二)安倍氏との関係の維持。安倍氏と岸田氏の関係は現在非常に微妙になっている。岸田氏は自分の道を歩もうとしているが、安倍氏は「安倍路線」の継承を願っており、岸田氏の動きを強く警戒している。両者は表と裏で何度も駆け引きを展開している。安倍氏は岸田氏の「新資本主義」などの主張に不満だが、岸田氏の改憲の主張には満足している。そのため岸田氏の動きは、実際には安倍氏の顔を立て、両者の関係を維持するためのものだ。


 (三)改憲の熱を保ち、徐々に国民に影響を及ぼす。安倍氏にせよ岸田氏にせよ、現時点では改憲の実現性が低いことを理解している。しかしこれを大々的に宣伝することで絶えず国民を「教育」し、改憲支持層を広げ、将来の国民投票に向け絶えず弱点を補強できる。


 日本がすでに「政府見解」などにより平和憲法9条を形骸化しているため、改憲の意義はそれほど重大ではないという説がある。これは確かにその通りではあるが、より高いレベルで日本の憲法、特に9条を見るとその重要な力を理解でき、また安倍氏のような右翼が改憲を極力主張するのかも理解できる。憲法は対外侵略した日本の無条件降伏の産物、戦後レジームの象徴の一つであり、特に9条は右翼にとっての「目の上の瘤」だ。彼らは「自主的な憲法制定」により第二次大戦の痕跡をかき消し、戦後レジームを否定することで、日本は初めて「正常な国」になれると見ている。これは日本が常に国連憲章における「敵国条項」の削除を求めていることと同意義だ。

 

 日本政府と右翼政治家は近年、自身を「ルールに基づく国際秩序の遵守者」であると再三宣伝し、中国などが「現状変更を試みている」と批判している。今回のロシアとウクライナの衝突について、安倍氏はロシアの動きは「戦後我々が構築した国際秩序への深刻な挑戦」であると述べた。その論理となっているのが、いわゆる「戦後の国際秩序」のいわゆる「自由民主主義の秩序」への置き換えだ。これについて各方面は強い警戒を維持する必要がある。(筆者・霍建崗中国現代国際関係研究院日本研究所副研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年3月15日

 

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