3つの枠組みが共存 アジア太平洋の経済協力の行方は?

中国網日本語版  |  2022-05-31

3つの枠組みが共存 アジア太平洋の経済協力の行方は?。一方は地域諸国、特に発展途上国の経済一体化の強化、共同発展の実現の願いであり、もう一方は米国が無理やり押し付ける「高基準」の協力モデルだ…

タグ:RCEP CPTPP IPEF 地域経済 貿易 競争

発信時間:2022-05-31 14:08:17 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

文=張薇薇 中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長、副研究員


 「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の立ち上げに伴い、アジア太平洋の経済協力が再び新たな変化を迎えた。アジア太平洋には現在、「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」と「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」という2つの包括的経済協力枠組みがある。IPEFが計画しているように来年末まで正式に妥結となれば、地域の3つ目の経済協力枠組みになる。この3者には大きな差があり、現在のアジア太平洋の経済協力に影響を及ぼす2つの力を反映している。

 

 (一)枠組みの成り立ちが異なる。RCEPは内生性が明らかであるが、CPTPPとIPEFには米国の深い焼き印が押されている。

 

 (二)枠組みの性質と目標が異なる。RCEPは伝統的な貿易自由化協定で、参加国間の各種形式の貿易障壁を取り払い、より多くの貿易・投資機会を生み出すことを目標としている。CPTPPは「高水準」の自由貿易協定と呼ばれ、関税などの伝統的な貿易障壁の撤廃を着眼点とし、かつデジタル貿易、知的財産権の保護、労働者の権益、環境保護などの問題をめぐり比較的高い基準を打ち出している。その目的は、特定グループ内でより高度な自由化を実現することだ。その前身であるTPPが意図的に中国を除外したため、CPTPPも中国に警戒し、中国を外す意図を持っている。IPEFは主に基準の策定を着眼点としており、貿易自由化と関連性を持たない。米国はIPEFのいわゆる「高基準」を利用し、一部分野でアジア太平洋市場をさらに切り開き、かつ特定産業のサプライチェーン体制を再構築しようとしている。米国の複数の当局者は率直に、中国の影響力を弱めることがIPEFの主な狙いであると述べている。

 

 (三)枠組みが重視する内容が異なる。RCEPはより包摂的で開放的な地域経済一体化の構築を重視している。CPTPPは主に、より高水準の自由化とより厳しい基準・ルールを掲げており、主に先進経済体の利益の主張を反映している。IPEFは主にバイデン政権の経済政策の目標に順応し、重点的に4大分野を選びいわゆる「高基準」を掲げている。IPEFの4本柱は「相互につながる経済」「強靭な経済」「クリーンな経済」「公平な経済」で、それぞれデジタル貿易、サプライチェーン安全、再生可能エネルギー、税収・汚職撲滅と対応している。これにもまた、労働者と環境に関する「高基準」が含まれる。IPEFは米国市場を譲渡しないことを前提とし、米国企業がアジア太平洋諸国の資源をより十分に利用し、市場競争で有利な立場を占めるよう支援する。

 

 RCEP、CPTPP、IPEFはアジア太平洋の経済協力における2勢力の競争を示している。一方は地域諸国、特に発展途上国の経済一体化の強化、共同発展の実現の願いであり、もう一方は米国が無理やり押し付ける「高基準」の協力モデルだ。RCEPは自由化水準が最高ではないが、地域協力の包摂性と互恵・ウィンウィンの特質を最大限に示している。発効から5カ月に渡り、すでに地域内の貿易規模を大幅に拡大する効果をもたらしている。CPTPPは米国が掲げたTPPを前身としているが、参加国は米国の離脱後に米国が堅持し他国が反対していたTPPの22条項を凍結した。これによりCPTPPがよりバランスの取れたものとなり、アジア太平洋の経済がより発展している参加国による、より高水準の貿易自由化への願いが示された。これらと比べると、IPEFは「米国臭」が最も強い。米国の公式文書は同枠組みが米国の一般世帯にメリットをもたらすことを隠していないが、アジア太平洋諸国の利益については現在も具体的に言及していない。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月31日

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