日本メディアの最近の報道によると、日本は貿易・投資・人員流動などの面で、「世界成長のエンジンである東南アジアにおける存在感」を失いつつある。それでは、かつて東アジアの経済の奇跡を創出し、アジア経済のリーダーになった日本が東南アジアで長年かけて形成した存在感が下り坂に入ったのはなぜだろうか。
当然ながら最も重要な原因は、日本経済の低迷による外部への魅力の低下だ。日本政府の「インド太平洋地域」への政策調整及び展開は、東南アジアでの存在感の低下に対して触媒作用を起こす。日本が米国の「インド太平洋戦略」の実施、中国けん制への協力を急ぐことによる連鎖反応を受け、東南アジア諸国がますます窮地に陥っている。
(一)日本が追い求める「インド太平洋」の利益が、東南アジア諸国の切実な利益と関心事を相殺している。米日印豪「クアッド」の確立と強化、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の立ち上げ、日本が発表を予定している日本版の「インド太平洋計画」は事実上、意図的に東南アジアを日米の「インド太平洋戦略」を支える駒としている。
(二)米国の東南アジアにおける経済競争の加速。米日は軍事同盟であるが、米国の経済界は長年に渡り、対ASEAN貿易で日本と陰に陽に争っている。中国けん制・包囲という最大の目標のもとバイデン政権が掲げたIPEFには、アジア太平洋の成長のエンジンである東南アジア経済の競争に参加するよう米国企業を刺激する狙いがある。
(三)東南アジアの日本に対する信頼に二極化が生じている。日米共同の中国けん制により、一部の東南アジア諸国は大国の間での立場表明を回避しており、中国対抗の性質を持つ地政学的経済に介入することはない。日米が分裂と食い違いを意図的に生じさせることで、ASEANが苦しい立場になっている。これは事実上、東南アジア諸国の日米への不信感を強めている。
日本国内では、東南アジアでの存在感の低下を中国のせいにする者がいるが、これは明らかに見当違いだ。(筆者・笪志剛黒竜江省社会科学院北東アジア研究所所長、研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年6月13日