日韓両国トップの経済団体、日本経団連(経済団体連合会)と韓国全経連(全国経済人連合会)が4日、ソウルで会合を開いた。これは日韓2大経済団体の3年ぶりの会合だ。双方は会合後に発表した共同声明の中で、人員のビザなし交流を再開すると表明し、この機を借り両国の経済レベルの交流を強化したいとした。
まず、両国は経済・貿易分野で協力再開の可能性を示した。日韓のこの2つの経済団体は、各自の国内さらには政治・外交分野で大きな影響力を持つ。経団連は日本の経済内閣と呼ばれ、日本国内で重要な地位を占めている。経団連の十倉雅和会長は韓国到着後、まず韓国の尹錫悦大統領を訪問し、「日韓の経済協力は非常に重要で、経済及び人員往来は政治・外交関係の基本的な前提だ」と述べた。尹氏は、両国政府は懸案解消に向け共に努力すべきと、非常に積極的な反応を示した。
日韓の経済・貿易分野の関係改善の兆しは、急な話ではない。3年余りの対抗を経て、両国の経済・貿易界はすでに疲弊している。特に韓国は日本からの技術制裁の痛みを味わっている。韓国による2018年の徴用工への賠償問題をめぐる判決は日本を憤らせた。安倍内閣は韓国の半導体生産に不可欠なフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の輸出規制を決定した。これは韓国に衝撃を与え、日本のハイテク面の優位性を知らしめた。技術面で日本が韓国に依存しているのではなく、その逆であることは事実によって証明された。今回の2団体の会合の内容には、半導体技術の輸出規制の解除に関する問題が含まれた。また韓国はCPTPP加入をめぐり日本から支持を得ようとしている。両国はさらに「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」をめぐる協力の可能性についても協議した。
次に、今回の会合に重要な政治的意義があり、日韓関係が経済分野の協力を皮切りに、二国間関係の好転を実現する可能性を示していることに注意が必要だ。日韓関係改善には米国の仲介が不可欠だが、これにはバイデン政権の「インド太平洋戦略」の目論見が隠されている。日韓関係は米国の「インド太平洋戦略」の重要な構成部分だ。米国の同戦略にはクアッド、ASEAN抱き込み、台湾海峡情勢、朝鮮半島、さらにはユーラシア安保協力などの内容が含まれる。うち朝鮮半島については、日韓関係の緩和が必要条件だ。
そのため最近の動きを見ると、日韓関係の改善はNATO首脳会議を契機とし、米日韓首脳会談を場とし、双方の経済界大物を通じ会合を再開させており、極めて象徴的な意義がある。日韓関係は米国のコントロールを受け、IPEFの中に置かれる。その一方で両国は目下、経済の苦境に陥っている。韓国経済は特に技術面で日本に依存している。ロシアとウクライナの衝突による世界的なサプライチェーンの混乱は、日本経済にとっても泣きっ面に蜂だ。円安、エネルギー危機、物価上昇などのさまざまなデータを見ると、日本経済の圧力は新たな臨界点を迎えている。日本製品の輸出の競争力が近年下がっており、かつて強かった家電製品は東南アジアからの挑戦を受け、米国からも圧力を受けている。日本は現在、観光業により経済を支え、自動車輸出の強みにより貿易黒字を保とうとしているが、これらはいずれも中国との協力が不可欠だ。昨年の中韓・中日貿易額はいずれも3000億ドルを突破した。日本にとっても韓国にとっても、米国と西側の反中の立場につくことで中国市場を失う結果を受け入れられない。
日韓両国の首脳はNATOから招待を受け、帰国した後、厳しい経済の現状に直面した。西側の中国けん制に参加しながら、中国から利益を得ようとすれば、中国から尊重されないだろう。中日韓はいずれもRCEPの重要な加盟国で、東アジア経済発展の大きな責任を担っている。今年は中韓国交樹立30周年、中日国交正常化50周年だ。米日韓か中日韓か、これは日韓両国にとって問題だ。アジアでGDPが最大の3カ国は隣国であるだけでなく、共通する儒家伝統文化を持つ。西側の価値観によって、人為的にでっち上げられた安全問題により引き裂かれるべきではない。(筆者・廉徳瑰 上海外国語大学日本研究センター主任、教授)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月6日