安倍晋三元首相が銃撃され死亡した後、日本メディアは12日に、インドのモディ首相による安倍氏への追悼文を掲載した。「ジャパンタイムズ」はモディ氏の「日本と世界は遠見卓識を持っている偉大な人物を失い、私は親愛なる友を失った」という言葉を引用し、伝えた。インドは3日前、安倍氏のため国を挙げ1日追悼し、「最も深い敬意」を表した。

　安倍氏は印日関係の「蜜月期」を演出した主な人物とされており、またモディ氏の「親友」でもある。安倍氏が亡くなると各国が哀悼の意を表したが、インドのような国を挙げての追悼は稀だった。インドメディアは安倍氏を評価する際に、安倍氏が印日協力を「高速道路」にのせたと伝えた。今や安倍氏が亡くなり、印日経済協力の列車の「脱線」を懸念する声が多い。

　「インドの大きな損失」

　インドが海外首脳のため国を挙げて追悼するのは今回が初めてではない。1989年にイランの首脳が亡くなり、2005年と22年にサウジアラビアの国王が亡くなった時も国を挙げて1日追悼した。2013年に南アフリカのマンデラ元大統領が死亡すると、インドは5日間の追悼を発表した。

　インドの中国語学者、デリー大学客員教授のアシー氏は「環球時報」に、「安倍氏が銃撃され死亡した事件は、インドの大きな損失だ。モディ首相と安倍氏の個人的な関係は非常に良好で、彼らは印日関係をさらに高い段階に押し上げた」と述べた。

　印日関係は低迷？

　両国は政治面で親密ぶりを示しているが、双方の経済・貿易交流はそれと比べ見劣りしている。貿易額を見ると、昨年の印日貿易額は約190億ドルだった。その一方で、昨年の中日貿易額は3500億4000万ドルと、印日貿易額の18.4倍だった。投資額を見ると、2020年末現在の日本の対印直接投資残高は300億ドルのみだが、対中は1434億5000万ドルと5倍弱にのぼっている。

　日本の民間にも不満が見られる。「環球時報」は以前「インド高速鉄道事業、中国から奪った日本が泥沼に」と題した記事の中で、「全長508キロのムンバイ～アーメダバード高速鉄道は2017年の着工から現在まで10キロほどしか建設されていない。日本の民間は、政府がインドに何度も円借款を提供していることに大きな不満を持っている」と伝えた。

　安倍氏が銃撃され死亡した事件は、今後の印日関係に影響を及ぼすだろうか。アシー氏はこれに否定的な態度を示し、「両国は相互サポートが必要だ。これまでの経済・貿易協力及び安全協力への影響はない」との見方を示した。

  ｢中国網日本語版(チャイナネット)｣2022年7月13日