日本メディアは中国に関するネガティブな情報ばかりを伝え、長年に渡り規格化された「ポリコレ」を形成している。十数年前の「経済失速」「生産能力余剰」から最近の「債務危機」「人口減少」など、さまざまなバージョンの「中国崩壊論」が日本メディアによって喧伝されている。これはすでに分厚い「灰色のフィルター」になり、日本人は真実の中国を理解しにくくなっている。
これとは対照的に、中国は2010年に日本をGDPで追い越した後も発展を続け、昨年の時点ですでに日本の3.4倍になっている。在中国日本企業も中国経済に十分な自信を持っている。日本貿易振興機構(ジェトロ)が今年発表した調査報告書によると、調査に応じた在中国日本企業の72.2%が2021年度に黒字を達成し、40%以上が今後の事業拡大を検討している。また、その中国事業の収益率は14.9%で、米国の6.1%を大きく上回っている。
この顕著な「認知的不協和」は、日本メディアが中国について報じる際に往々にして自ら標榜する「中立」を守らず、むしろ非理性的な要素から影響を受け、中国関連の世論を非客観的な方向に大きくずらしている。
(一)日増しに閉鎖的になり硬化する世界観。日本社会が認める「正当な秩序」とは、厳密な等級があり、順序が明らかな静的な眺めだ。社会の構成員は自分の本業にいそしみ、立場をわきまえる。下層の構成員が上にあがるための道は極めて狭く、かつ上層の構成員の承諾を得ることが前提条件だ。その典型的な代表は、日本企業の文化における「年功序列制」だ。日本メディアはこのような見方を国際情勢への観察に持ち込み、「順序」と「立場」を高度に重視し、国家間の優劣・高低を厳しく分ける。日本のエリートにとって、西側先進諸国は自ずと発展途上国よりも優れており、日本は「西側の一員」として自ずと中国を含むその他のアジア諸国より優れている。そのため日本メディアは心理的に、中国経済に後から追い越されたという事実を受け入れにくい。事実を尊重し、開放的で包摂的な精神により物事を見据えることができないばかりか、中国の正常な発展を「秩序への挑戦」と中傷する。絶えず中国を中傷し貶めることで自分を慰め、さらには西側の手を借り中国を日本の下に押し戻し、「秩序維持」を実現しようとしている。
(二)狭隘で頑迷な価値観の優越感。歴史を振り返ると、日本は長期的に中華文化圏の縁に置かれた。ところがその近代以降の「自我意識」は、中国の伝統への批判と否定から生まれ出た。言い換えるならば、日本の中国への「優越感」は、国としての自己認識の重要な部分だ。第二次大戦前にこの優越感は「脱亜入欧」から得られたが、第二次大戦後は米国及び西側が認める政治体制と価値観によって得られた。冷戦終結により、日本の西側の価値観への信仰がさらに「チャージ」された。「立場先行」の色眼鏡により、日本メディアは中国政府の経済調節の大きな努力、高い能力、優れた成果を目にできず、中国が「ソ連解体の後塵を拝する」と習慣的に判断している。これに加え90年代のバブル崩壊後、歴代「民主主義政府」による日本経済復活の措置はいずれも効果が乏しく、日本経済は長期低迷に陥り、貧富の格差が日増しに深刻になった。エリートを代表する日本メディアは国民に対して、「より優れた政治体制」を持つ日本の景気が中国に遠く及ばない理由を説明できず、自他を欺くようにして「中国経済は間もなく崩壊」と繰り返し喧伝することで人々を麻痺させている。
(三)米国に依存しようとする投機的な心理。21世紀に入ると日本の政界は大きく右傾化し、日本を「再び偉大に」する国家主義的な主張が横行している。国内でポピュリズムと排外主義を煽り、国外では国際情勢の変革に便乗し自国の国際的な地位を高めようと期待している。日本は、第二次大戦で日本を打ち負かし、冷戦でソ連を打ち負かした米国が、最終的に中国との競争に勝利すると深く信じている。そこで日本は米国による中国けん制の世論戦に対して非常に積極的な姿勢を示し、さまざまな「新冷戦説」に熱中している。米国と西側の手先になり、中国に圧力をかけることで西側諸国から認められ、「敗戦国」としての身分を否定し、「アジアのリーダー」「世界一流国」に成り上がろうとしている。日本の政界の右傾化もまたメディア界に深い影響を及ぼした。かつての中国に対する公平な声は、反中的な観点が絶えず響き渡る「インフォメーションコクーン」のせいか、中国に媚びているというレッテルを恐れるためか、雰囲気に迎合し非理性的な声の中に埋もれている。
「引っ越せない隣人」である中日関係は、国交正常化50周年を迎えた。中国の発展が日本メディアの衰退論により逆転しなことは実践で証明された。ましてや発展途上国の普遍的な台頭という歴史の流れが、少数の国やグループの「精神的不均衡」により後退することもない。平等な見方を出発点とし、事実を基礎とし客観的に相手を見据え、相互尊重し小異を残して大同につくことで、中日関係は初めて壁を乗り越え、真の成熟に向かうことができる。(筆者・孫文竹中国国際問題研究院アジア太平洋研究所副研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年7月27日