米メディアはこのほど記事の中で、アジアがかつてない大規模な軍備競争に入っており、またこれによりアジアが米日韓と中露朝の2大陣営に分裂し、軍備競争がコントロールを喪失するリスクに直面していると伝えた。(筆者=郭暁兵・中国現代国際関係研究院軍縮研究センター長)
アジア太平洋の陣営化の促進は米国の自信、もしくは不安を意味するのだろうか。恐らくは後者だろう。歴史を振り返ると、米国は力が及ばず内心焦っている場合は同盟国を抱き込み基礎を固め、それから頃合いを見計らい徐々に前進しようとする。欧州でウクライナ危機を利用しNATOを「復興」させようとするのも、アジア太平洋で「中国の脅威」を喧伝し再び同盟体制を構築しようとするのもこの目的のためだ。
アジア太平洋の陣営化は地域に何をもたらすだろうか。それは衝突と戦乱だ。米誌「フォーリン・アフェアーズ」の最新号の「ワシントンが軍事力に病みつきになる理由」と題した記事は、冷戦後(特に9.11以降)はいわゆる敵が頻繁に挑発していないにも関わらず、米国はかつてないほど武力を乱用し、全世界の過半数の人が米国を脅威と捉えるようになっていると指摘した。米国がこれほど好戦的なのは、他国よりも強い軍事力を持っているからだ。米国がアジア太平洋でさらに強い同盟体制の支援を受ければ、武力使用の衝動を自制できるだろうか。アジア太平洋は中東と東欧の二の舞を演じ、世界経済発展のけん引車から戦火に見舞われる修羅場になるのだろうか。
米国の学者でさえ、米国が自制できないことを懸念している。中国を含む平和的発展を愛し、これを重視する国は自国の職責を果たし、アジア太平洋では勝手な真似は許されないと米国に注意するべきだ。当然ながら米国も自省するべきだ。過去の東南アジア条約機構はなぜ成功しなかったのか。朝鮮戦争とベトナム戦争で勝てなかったのはなぜか。危機と衝突を防ごうとするならば、少なくとも主権の平等と相互尊重が必要ではないのか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年1月18日