フィリピンのマルコス大統領が今月8−12日に日本を訪問する。日本の外務省は、フィリピンは日本の「歴史的なつながりで結ばれた、基本的価値を共有する戦略的なパートナー」と称している。日本の松野博一内閣官房長官は、フィリピンは日本及び「インド太平洋地域」のその他の国と協力しており、地域安全保障の重要な構成部分とされていると述べた。それでは現在のフィリピンと日本の関係をどう捉えるべきだろうか。
第二次大戦中の侵略者のイメージを改善し、東南アジア諸国の反日ムードを弱め、かつエネルギー及び対外投資を求め周辺の国際市場を切り開くことは、日本がフィリピンとの関係を改善しようとする主な動機だ。フィリピンでは60−70年代に強い反日ムードがあったが、日本文化と経済の各種攻勢を受け徐々に弱まっていった。日本は2021年にフィリピンにとって2位の貿易パートナー、3位の輸出先、2位の輸入先となった。
しかし地域の国際情勢の発展により、両国関係は徐々に複雑になっていった。この転換期はアキノ3世の任期内に訪れた。米国の「アジア太平洋リバランス」戦略の発表により、米国の弟分である日本は東南アジアで米国に追随し、南中国海問題を利用しフィリピンとの関係を格上げした。比日両国は海洋安全を巡り一連の深い協力を開始した。
その一方で外部の勢力を取り込み、それにより中国の南中国海問題をめぐる圧力を和らげると同時に、フィリピンの軍事現代化水準と国防能力を上げることは、アキノ3世時代のフィリピンの中国対応の主な措置となった。安全及び対中問題について、アキノ3世政権と日本は共通点を見出したと言える。
ところが両国は常に共鳴しているわけではない。日本にとっては経済的な利益の他に、米国に追随しフィリピンを利用し中国をけん制することが至極当然になっている。
実際には、両国間の経済協力をより重視しているのはフィリピンだ。日本の意図を意識していないわけではないが、国力発展の強い願いにより、大国間の食い違いを利用し自国の利益の最大化を図ろうとしている。これには投資導入や安全面の保障の実現が含まれる。しかしマルコス政権は中国をけん制しようとする日本側の考えに盲従することはない。マルコス氏本人が何度も強調しているように、南中国海問題は中比関係のすべてではないからだ。(筆者=代帆・暨南大学国際関係学院副院長、フィリピン研究センター主任)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年2月9日