(二)IAEAタスクフォースの報告書には法的拘束力がない。IAEAはその報告書が果たす職権は「国際原子力機関憲章」第3条のAの6に基づくものと強調している。つまり日本政府の要請に応じ、IAEAの安全基準を日本の原子力関連の活動に適用するということだ。ゆえにIAEA安全基準(IAEA Safety Standards)の性質を明確にすることが重要だ。言い換えるならば、国際社会はIAEAの基準を守らなければならないのか、核汚染水放出問題についてはIAEAのみが決定権を握るのか、ということだ。これについては次の2点に注意が必要だ。(1)「国際原子力機関憲章」第3条のAの6によると、関連基準が一国で適用されるか否かについては、その同意(要請)を前提とする必要がある。(2)IAEAは自身の刊行物の中で、その安全基準は各加盟国に対して法的拘束力を持たず、IAEA自身の業務及び業務の協力においてのみ拘束力を持つと明記した。ゆえにIAEAの報告書と基準は国際法上いずれも拘束力を持たず、国際社会は関連基準を採用できるが、需要に基づきより厳しくより現状に合った基準を選択しても良い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年7月6日