皆さんはじめまして!中国で役者をしている矢野浩二といいます。
早いもので中国に来て10年になります。最初は『1年居られればいいとこだろう』と思ってましたから、人生ってどう転ぶかわかりませんね。『石の上にも3年』っていいますが、僕的には『石の上にも8年』だと思っています。何かを決心してやる時に3年は短すぎます。最低8年、10年たった今やっと自分の方向性が明確に見えてきました。それまではただ“がむしゃら”でしたからね。こちら中国の映画・ドラマは年代もの、特に戦争ものの作品が多いです。その中でも日本人俳優に与えられる役は軍人役が多いです。僕も過去にはかなりの数の極悪卑劣な軍人を演じてきました。中国でいう“脸谱化”(滑稽な、ステレオタイプ)な軍人像です。ですがここ2,3年状況は少し変わってきました。戦争の矛盾と葛藤の中、一途に中国人女性を思い続ける役、日本を愛してるが当時の日本に対して不満と憤りを抱いてる国際情報員役、戦争勃発を防ぐべく裏で命をかけて奮闘するスパイ役、中国古典コメディのバラエティキャラ役など、以前とは違う、出会う役が個性のある豊富な役ばかりになってきました。役者にとっては冥利に尽きる役ばかりです。ここ数年、中国で活動を目指す若い人達が増えてきました。ある中国記者からのインタビューで「浩二さん、なんとなく危機感を感じたりしますか?」とか聞かれます(笑)。
危機とかは正直ありません。ずっと思ってるのが自分にとっての最大のライバルはいつになっても“自分”だということ。いろんな邪悪な思いや考えはみんな自分の中から出てくる。休みたいダラケタイ感情も自分の中から出てくる。とるに足らない悩みも振り返ると自分だけが深刻に考えてるってこともよくありますよね。みんな自分なんです。だから僕はいつも自分の中で自分とその自分を監視するもう一人の“自分”との格闘なんです(笑)。これからも続けていくことでしょう、自分との格闘を。
これからよろしくお願い致します!
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月26日