広東省で試される中国の外国人移民政策

japanese.china.org.cn  |  2009-10-20

広東省で試される中国の外国人移民政策。「出国」はとりたてて珍しいことではなくなった。それと同時に、ここ数年、外国人が中国に住んだり、中国で働いたりすることも中国の社会や経済、生活の中でだんだんと無視できないものとなっている。発展途上の大国である中国は、世界、とりわけ他の発展途上国からの「入国ラッシュ」といかに向き合うべきか。このことは、中国の外交から社会までの各方面に影響する重要な問題となっている…

タグ:移民政策

発信時間:2009-10-20 17:14:13 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

依然としてうだるような暑さが続く9月中旬の広州。小北路を白雲山の方へ向かうと、肌の色が異なる、各種各様の衣服を身に着けた外国人が大きな荷物を持って忙しく行き交う姿が目に入る。ガーデンホテルの方へ目を向けると、レストランやバーも外国人客でにぎわっている。

「出国」はとりたてて珍しいことではなくなった。それと同時に、ここ数年、外国人が中国に住んだり、中国で働いたりすることも中国の社会や経済、生活の中でだんだんと無視できないものとなっている。発展途上の大国である中国は、世界、とりわけ他の発展途上国からの「入国ラッシュ」といかに向き合うべきか。このことは、中国の外交から社会までの各方面に影響する重要な問題となっている。

 

先進国からも発展途上国からも

全国の各省・自治区・直轄市の中で外国人出入国者数がもっとも多い地区の一つである広東省の出入国管理部門の統計データによると、今年上半期、同省から出入国した外国人の数は615万人に達し、全国の30.4%を占めた。また、広東省に臨時滞在している外国人は114万7000人、常住している外国人は5万7793人にのぼり、181カ国からやって来た3万7100人が同省で就労し、労働部門の管理下に組み入れられている。

「自分は『外国人出稼ぎ労働者』だと思う」。そう語るのは日本人の平岡省吾さん(31歳)。「広州で不動産賃貸仲介業に従事する一人の人間として、私は日本と中国の両方のお客様のために『出稼ぎ労働』をしているのです」

早稲田大学を卒業した平岡さんは、2年前、日本の某大手企業の中国駐在所での仕事を辞めて自ら事業を起こそうと決心した。「当時は日中間のビジネスや人の往来が急速に増えていて、彼らに適当な仲介サービスを提供することは巨大で開発の余地がある市場に違いないと思ったのです。この考えが正しかったことは、2年間の経験でも証明されました」

広東省の出入国管理部門の統計データによれば、2009年上半期現在、広東省常住の外国人上位5位は日本人、韓国人、米国人、インド人、フィリピン人。

実際、欧米や日本などの先進国の就労人口のほか、中東やアフリカなど発展途上国の人々も「出稼ぎ」にやって来るようになった。広州の小北路と環市路一帯には、数万人のアフリカ人が集まってビジネスや生活をしている。

広東省外事弁公室領事処の羅軍処長は、「外国籍の就労人口が安定して増え続けているのは、中国市場が金融危機の打撃を受けても依然として吸引力を維持していることを意味している。彼らはかつての「来賓」や「過客」といった存在から、広東の経済や社会と密接不可分の要素に変わりつつある」と話す。

 


 

「入国ラッシュ」の背後で

しかしその一方、広東省では外国人が増えたことにより、「不法入国、不法滞在、不法就労」の外国人も増加し、さまざまな社会問題を引き起こしている。特にここ数年はアフリカ籍の人々の「不法入国、不法滞在、不法就労」問題が深刻化し、広東省は社会管理と治安秩序の維持の面で新たな試練に直面している。

これに対し、広東省は多方面から解決を図り、「大きな枠組みでの外国人管理」体制の構築に着手した。目下、外国人に対するサービスや管理を強化し、「不法入国、不法滞在、不法就労」及びその他の違法行為の増加を断固として食い止め、広州及び深圳の96の街、鎮に外国人管理サービス所を設置して和やかな雰囲気の管理に努めると同時に、外国人の違法行為の防止や取り締まりにも力を入れている。

外国人登録者数が85カ国3000人余りにおよぶ広州市越秀区登峰街には、広東省初の外国人管理サービス所が設立され、登峰街司法所にも広東省初の外国人法律普及連絡所が設置された。登峰街司法所の劉靖所長によると、司法所は中国の法律を英語、フランス語、アラブ語などに翻訳し、それを小冊子にまとめて外国人に配布しているという。また、広州大学法学院と外国人法律普及サイトを開設し、大学生のボランティアと一緒に外国人法律普及活動を行ったり、弁護士事務所と協力して外国人に専門の法律サービスを提供したりしている。

広東省の工商部門も外国人の違法な経営活動の調査と取り締まりを強化している。広東省外事弁公室によると、広東省は渉外管理業務を強化し、外国人の管理と渉外案件の処理をしっかりと行うとともに、外国公民の合法的権利の擁護を重視し、関係国の駐中国領事館が自国の公民を保護するのに必要な協力を提供している。

 

外国人管理は新たな段階へ

広東省人民政府外事弁公室渉外安全処の欧陽江旋処長は、「『不法入国、不法滞在、不法就労』はグローバル化によってもたらされた世界的な問題であり、これは広東省や中国特有の問題ではなく、周辺の先進国や地域も同じような問題に直面している」と語る。

「発展途上の大国である中国、特に東部沿海地域の突出した経済成長が開発の遅れている国や地域の人々を引き付け、大挙して押し寄せる大きな原因となっている。ただし、発展途上国が世界的な規模で他の発展途上の国や地域の人々を引き付けることは、歴史上あまり例を見ない。これも、中国の社会管理や公共サービスにとっての新たな課題となっており、法律法規にさえ空白や立ち後れが存在している。末端職員の経験が不足しているのは言うまでもなく、処理に困る問題が非常に多い」

広東省の工商管理部門と人事行政主管部門によると、この2つの領域では、法律法規が互いに関連しておらず、衝突することさえあり、あるいはひどく立ち遅れているという状況が目立つという。

ある社会学者は、「長らく、中国は一貫して「出入国管理」の理念を抱いてきたが、対外開放の窓口、門戸である広東省が直面している新たな状況、新たな問題は、全国という大きな背景の下で考え、認識すべきである」との見方を示している。

また、ある研究者は次のように語る。「現在の状況から見ると、多くの問題は入国ビザの問題に集中している。これはつまり、私たちはまだ、現在起こっている外国人「入国熱」に向き合う準備ができていないということである。先進国の経験に鑑みると、入国者の大量増加によって試されるのは、その国の移民政策である。中国は発展途上の国でありながら、先進国が遭遇する問題にも直面している。対外交流の戦略思考の中に「移民」という要素をしだいに取り入れるべきか否は、一考する価値があるだろう」

 

「チャイナネット」 2009年10月20日

 

 

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