北京の大気汚染 外国人への影響は?

japanese.china.org.cn  |  2013-05-04

北京の大気汚染 外国人への影響は?。某日本メディアはこのほど、「中国都市部の大気汚染に続き、鳥インフルエンザのヒト感染が発生した。これにより在中国日系企業の、中国に滞在し続けるという考えに揺らぎが生じている」とし、中国に進出した日本企業の懸念を伝えた…

タグ:北京の大気汚染 外国人 影響

発信時間:2013-05-04 10:39:45 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

某日本メディアはこのほど、「中国都市部の大気汚染に続き、鳥インフルエンザのヒト感染が発生した。これにより在中国日系企業の、中国に滞在し続けるという考えに揺らぎが生じている」とし、中国に進出した日本企業の懸念を伝えた。もし今年、北京の吸引力が低下した場合、その元凶は大気汚染に違いない。「大気汚染による世界最後の日により、外国人が北京を離れている」といった報道が、欧米諸国のメディアによって伝えられている。しかし実際に大気汚染が原因で北京、さらには中国を離れた外国人の数は、統計をとることが困難だ。本紙の調査によると、大気汚染により北京を離れた日本の駐中国外交官は存在しない。毎年約37万人の英国人が中国を訪問し、中国には3万社以上の日本企業が進出している。この二つのデータだけでも、中国がかつて誇っていた対外的な魅力を知ることができる。しかしPM2.5のデータが一つの課題になっていることは否定できない。外国人、さらには一部の中国人が大気汚染により中国を離れるか移民するという現象は、確かに存在している。北京で宿泊する外国人観光客数が、前年同期比で4割弱減少したというデータもある。中国政府・地方政府は、これを重視せざるを得なくなっている。環球時報が伝えた。

◆某外資系企業、北京駐在員に15万元の「危険手当」

中国気象局が発表したデータによると、今年初めの100日間のうち、北京市ではスモッグが計46日発生し、過去60年間で最多となった。中国の環境NGO「自然之友」が4月に発表した「中国環境発展報告書(2013)」は、全国の省都・直轄市の2012年度大気汚染状況に基づきランキングを作成した。その結果、蘭州市が最下位となり、北京が後ろから2番目となった。成都市や天津市などの都市でも、大規模なインフラ整備や工業化の加速により、大気品質の低下が深刻だ。同報告書の執筆者は、「外国人が北京を離れ清潔な空気を求めているという報道も一理ある」と指摘した。

本紙は北京市在住の外国人を取材した。彼らは大気汚染の進行により、自身と家族の健康が著しく損なわれることを懸念している。在中国日本国大使館の環境専門家である岡崎雄太1等書記官は夫人と二人の息子を伴い北京で生活しており、「家に空気清浄機を取り付けたが、大気汚染の問題を考慮し、外出を控えることもある。中国では、多くの子供が通院している。一人の父親として心が痛む」と述べた。

英人材紹介会社Antal Internationalの中国法人でコンサルティングを担当するプライスさんは、「多くの外国人が中国の2・3線都市での勤務を希望しているが、環境がその原因の一つになっている。過去4-5ヵ月に渡り、一部の外国人は雇用主と契約更新の交渉をする際に、北京での勤務継続の前提として危険手当を求めている。この手当は企業が従業員を、アンゴラやナイジェリアといった政治情勢が不安定で、人身事故が生じる可能性のある地区に派遣する際に支給するものだ。一般的な危険手当は、給与全体の10分の1だ。某外資系企業が北京の駐在員に支給する危険手当は、毎年15万元(約240万円)に達する」と説明した。

 


 

 ◆大気汚染により中国を離れた日本人外交官は存在しない

 中国を離れようとする外国人もいれば、それを軽率に口にしない外国人、さらにはまた訪中したいという外国人もいる。シカゴは米国の伝統的な工業センターであるため、国内のその他の地域と比べ、大気品質が劣っている。中国に駐在しているシカゴ出身者は、北京の大気汚染問題について、「子供の健康を懸念しているが、すぐに中国を離れるつもりはない」と語った。白人女性のダイアナさんは米国の敬虔なキリスト教徒で、退職後に中国の某大学で英会話を5-6年間教えている。彼女はこのほど、米国に帰国した。大気汚染を理由に帰国するのかと記者に質問された際、ダイアナさんはこれを否定し、「私は中国が好きで、今年の夏に戻る予定だ」と述べた。医療情報業界で働く米国人のスミスさんは、中国で8年以上に渡り会社を経営している。スミスさんは、「どの国も自国の問題を抱えている。北京の場合はそれが大気汚染かもしれないが、米国には別の問題が存在する。中国市場には大きなチャンスが存在し、大気汚染問題は中国を離れる理由にはならない。当社は米国の一流大学で卒業予定の中国人留学生を招聘しており、北京・上海の支社で勤務してもらうつもりだ」と話した。

 米国在住の多くの華人・華僑が近年、中国に帰国することを選択している。米国籍の華人である閻波さんは、2年前に製薬企業からスカウトされ、中国で大部門の事業を担当している。閻さんは会社が大気汚染問題により中国から撤退する可能性について聞かれた際、「それはありえない。米国の製薬業界はコストが上昇し政府による管理が強化されている。当社は現在、数多くの臨床試験、基本原材料の配合、生物統計などの事業を中国に移転している。大気汚染は子供を持つ外国人家庭にとって深刻な問題だ。私の部門の数人の日本人社員は、大気汚染により家族を日本に送り返した」と述べた。

 大気汚染による影響が、中国在住の日本人の懸念を招いている。しかし本紙が外務省の関係者を取材したところ、「日本人外交官は特殊な事情がなければ帰国を申請できないため、大気汚染への懸念から中国を離れたという話は聞かない」と述べた。しかし外務省は日本製のマスクを中国まで運び、外交官に窓の開閉に注意し、外出をなるべく控えるよう呼びかけている。在中国日本国大使館は専門家を招き、中国在住の日本人向けにPM2.5の危険性と予防知識について説明している。

 


 

◆大気汚染によるイメージダウン

 中国の巨大な商機、中国の文化・社会生活が多くの外国人を引きつけているが、北京などの大都市の大気汚染問題が適切に処理されなければ、一部の人は訪中を控えるだろう。米大手国際法律事務所のジョーンズ・デイの北京事務所のパートナー、中国に10年間在住しているニュージーランド人のハライトさんは、「依然として多くの外国人が中国勤務を希望しているが、多くのグローバル企業は大気汚染により、北京勤務を人材募集の注目点として紹介できなくなった」と指摘した。

 在中国イギリス大使館から提供されたデータによると、毎年37万人の英国人が中国を旅行しており、1万7000人の英国人が中国で合法的に生活・勤務している。大気汚染により北京を離れた外国人の数、北京を避けた外国人観光客の数に関する公式データは存在しない。しかし北京市観光発展委員会の統計データによると、今年2月に北京で宿泊した外国人観光客数は、前年同月比37%減の延べ16万5000人のみとなった。

 トンプソンさんは英国のPR会社に勤務しており、北京出張の機会も多い。トンプソンさんは、「大気汚染により北京の国際大都市としてのイメージが損なわれており、これは経済利益の損失を上回っている。中国はかつて、大気汚染問題を処理する勇気が不足していた。重要なのは大衆の意識であり、全員でより良い自然環境を守る必要がある。ロンドンで大気汚染問題が再発した場合、排出基準を満たさない企業はより強い世論の圧力を受け、重い処罰を下されるだろう。一方で今の中国では、人々が不満を漏らすことの方が多い。政府はさまざまな政策を講じているが、自覚的に低排気量の自動車を購入する人はあまりに少ない」と指摘した。

 日中両国の環境提携推進に従事する岡崎1等書記官は、「日本の環境汚染処理の教訓・政策・技術・経験を、中国の問題解決に活かせればと思う。私も北京での勤務継続を希望している。日本はかつて深刻な大気汚染を経験しており、私本人も大気汚染の訴訟における被告として、困難な業務に参与したことがある。世界のいかなる地域でも、このような被害が再発するべきではない」と述べた。(編集YF)

 「人民網日本語版」2013年5月4日

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