(四)中央財政の主要支出項目の配分状況
二〇一〇年度中央財政の運用可能な歳入はそれほど増えないが、歳出は前年度より六・三%伸びる。支出の配分にあたっては、一般的支出を厳しく抑え、行政関係支出を削減して、農業や教育、社会保障・雇用、保障タイプの住宅などの重点支出を優先的に保障する。人民代表大会代表の審議の便に供するため、また財政支出の状況をよりよく反映させるために、二〇一〇年度の政府支出科目を部分的に見直し、細分化した。中央の主要支出項目(中央レベルの支出と中央から地方への移転支出を含む)の配分状況は次の通りである。
⒈ 教育支出は二一五九億九〇〇〇万元で、一七八億五一〇〇万元増え、九%増とし、中央財政支出の平均伸び率より二・七ポイント上回る。内訳は、中央レベルの支出六一〇億三五〇〇万元、地方への移転支出一五四九億五五〇〇万元である。農村義務教育の経費保障メカニズムをいっそう完備させ、都市部における義務教育段階の児童・生徒の学費・雑費免除政策を実行し、農民工が都市部に連れてきた子女が平等に義務教育を受けられるようにするため、計七三一億五〇〇〇万元を計上する。農村の義務教育学校で業績給制度を実施し、その補助金として一九七億八〇〇〇万元を計上する。中等職業学校に在校する農村出身の家計困窮学生と農業専攻学生の学費免除政策を実施し、その補助金として六〇億元を計上する。中西部地区における農村中学校の校舎改築と全国小中学校の校舎安全プロジェクトを推進し、その補助金として一〇〇億元を計上する。家計困窮学生への奨学金、学資援助金および国家学資ローンの利子補給などの政策を実施し、その経費として二二六億元を計上する。就学前教育と特殊教育の学校整備を強化する。国立大学の債務負担を軽減する試行作業を引き続き推し進め、「九八五プロジェクト」の次期建設の始動に一一六億元を計上する。「二一一プロジェクト」や中西部地区における高等教育の発展促進を後押しし、高等教育の質的向上をはかるため、四二六億元を計上する。国家中長期教育改革と発展計画要綱の実施に一〇〇億元を計上する。
⒉ 科学技術支出は一六三二億八五〇〇万元で、一二〇億八三〇〇万元増え、八%増とし、中央財政支出の平均伸び率より一・七ポイント上回る。内訳は、中央レベルの支出一五九七億一九〇〇万元、地方への移転支出三五億六六〇〇万元である。科学技術重要特別プロジェクトの実施に三〇一億九〇〇〇万元を計上する。基礎研究、先端技術の研究、社会公益的研究およびカギとなる、重要な共通技術の研究開発をバックアップするため、一一〇一億一六〇〇万元を計上する。重要科学研究装置・設備の独自開発の試行範囲を拡大する。科学技術への投資パターンを革新し、産・学・研・応用の有機的な連携を促し、科学技術の開発能力を高める。科学技術成果の産業化に資する分配制度を整える。カギとなる設備と部品の輸入やハイテク技術の導入を奨励する。
⒊ 文化・スポーツ及びメディア関係支出は三一四億四九〇〇万元で、一・九%減とする。内訳は、中央レベルの支出一五七億九六〇〇万元、地方への移転支出一五六億五三〇〇万元である。第十一次五ヵ年計画で定めた「ラジオ・テレビ放送を村々に普及するプロジェクト」などの任務がほぼ達成されたことに鑑み、相応分の支出を削減する。それと引き換えに他の支出を九・五%増とする。引き続き博物館、記念館の無料開放をバックアップし、全国の文化情報資源共有化などの重点文化プロジェクトを推し進め、文化財の保護を強化し、マスメディアの報道能力の強化に取り組み、文化産業の発展をいっそうバックアップし、文化体制の改革を積極的にサポートし、中央諸部門(機関)所管の営利的な出版社一四八社の企業化再編を重点的に推進する。
⒋ 医療衛生支出は一三八九億一八〇〇万元で、一一二億四〇〇万元増え、八・八%増とし、中央財政支出の平均伸び率より二・五ポイント上回る。内訳は、中央レベルの支出四三億三一〇〇万元、地方への移転支出一三四五億八七〇〇万元である。医療衛生体制改革の支援に一二六八億二〇〇〇万元を計上する。新しいタイプの農村合作医療と都市部住民基本医療保険の加入率を一段と引き上げ、財政補助基準を前年度の一人当たり年額八〇元から一二〇元に引き上げる。都市農村の医療救済への取り組みに力を入れる。都市・農村における基本公衆衛生サービスの経費保障メカニズムを完備させ、引き続き重要な公衆衛生サービスプロジェクトを実施する。六〇%の末端医療衛生機構に基本医薬品制度を導入することを支援する。公立病院の改革テストを推し進め、末端医療衛生サービスシステムを健全化させる。中国伝統医学と漢方薬事業の発展を促す。