5、地域間のバランスの取れた発展と経済構造の調整を大いにサポートし、経済発展パターンの転換を促す。中央から地方への移転支出を増やし、かつての革命根拠地、民族地区、辺境地区および貧困地区に対する支援を強化し、西部大開発をさらに支援する財政・租税政策を検討、策定し、東北地区など旧工業基地の全面的な振興を推し進め、中部地区の勃興を大いに促進し、東部地区の先行発展を積極的に後押しする。科学技術イノベーションへのサポートを強め、重点業種・企業の自主イノベーション能力の向上を促進する。中小企業とくに小規模企業発展の特別資金を増やして、技術革新や構造調整及び雇用創出を促す。省エネ・排出削減と立ち遅れた生産能力の淘汰を大いに推進し、戦略的な新興産業の発展をサポートする。資源税制度を改革し、鉱物資源有償使用制度の改革を全面的に推進し、汚染物質排出権の有償取得・取引制度を健全化させ、汚染物質排出権取引の試行範囲を拡大し、資源の節約と環境保護を促す。
二〇一〇年度予算収支と財政赤字の配分につい
て。中央経済活動会議で定められた二〇一〇年度経済発展の所期目標および積極的な財政政策を継続的に実施する要請に従って、各収支項目について項目別推計を行い、これを踏まえて、二〇一〇年度公共財政予算の主要指標を次のように設定する。
中央の財政収入は三兆八〇六〇億元で、二〇〇九年度の執行額(以下同)より二一六三億八六〇〇万元増え、六%増とする。また、中央予算安定化基金から一〇〇億元を受け入れることとする。これにより歳入総額は三兆八一六〇億元となる。一方、中央の歳出は四兆六六六〇億元で、前年度比二七五八億八六〇〇万元増え、六・三%増とする。内訳は、中央レベルの支出が一兆六〇四九億元で、前年度比七六九億一六〇〇万元増え、五%伸びる。地方への租税還付金と移転支出は三兆六一一億元で、前年度比一九八九億七〇〇〇万元増え、七%伸びる。中央財政の歳入から歳出を差し引くと、八五〇〇億元の赤字となり、前年度比一〇〇〇億元増となる。国債発行額をそれ相応に増やすことにより、それを補填する。中央財政の国債残高限度額を七兆一二〇八億三五〇〇万元と定める。
地方レベルの収入は一〇・一%増の三兆五八七〇億元で、それに中央からの租税還付金と移転支出収入分三兆六一一億元を加えると、地方の歳入は計六兆六四八一億元で、前年度比五二七八億九六〇〇万元増え、八・六%伸びる。地方の歳出は六兆八四八一億元で、前年度比七八八七億二〇〇〇万元増え、一三%増とする。地方財政の歳入から歳出を差し引くと、差額は二〇〇〇億元となる。国務院は財政部が地方に代わって公債を発行し、それを補填することを認めるとともに、省レベルの予算管理枠に組み入れることとする。中央と地方の財政予算案をとりまとめて見ると、全国(中央と地方)の歳入は前年度比八%増の七兆三九三〇億元で、中央予算安定化基金からの受入れ分一〇〇億元を加えると、配分可能な収入額は七兆四〇三〇億元となる。全国の歳出は一一・四%増の八兆四五三〇億元とする。全国財政の収支差額は一兆五〇〇億元である。
二〇一〇年度全国財政の収支差額はGDPの二・八%を占める見込みで、ほぼ前年度並みである。これは主として次の要因を考慮して算定したものである。わが国の景気は回復・好転に向かっているものの、まだ安定基調に入っておらず、財政政策の一貫性と安定性を保つ必要がある。また、財政収入の伸び率が比較的低いうえに、支出の圧力がかなり大きく、収支の矛盾が際立っているため、二〇一〇年度も適切な財政赤字の規模を維持しなければならない。それと同時に、財政の持続可能な発展を促進し、財政リスクを積極的に防ぎ、次年度以降における赤字の逐次縮小に向けてゆとりをもたせるためにも、赤字率を三%以内に抑えなければならない。
中央予算安定化基金の運用状況について。二〇〇九年度末時点の残高は一一九億元であるが、二〇一〇年度予算へ一〇〇億元を繰り入れることにより、残額は一九億元となる。