(二)中央財政の主要支出項目の執行状況について
二〇〇九年度の予算配分にあたっては、中央の政策決定や布石を踏まえて、財政支出構造をさらに最適化し、農業や教育、医療衛生、社会保障、雇用、保障タイプの住宅、科学技術、環境保護などの面への資金投入を強化した。予算執行においては、予備費も主として上記の諸分野に振り向けたため、諸般の重点支出(中央レベルの支出および地方への移転支出を含む)はかなりよく確保された。
⒈農業・林業・水利関係支出は三五〇一億二四〇〇万元で、予算の一〇一・六%を達成し、前年度より七九二億九三〇〇万元増え、二九・三%伸びた。内訳は、中央レベルの支出三一八億六九〇〇万元、地方への移転支出三一八二億五五〇〇万元である。農業生産財総合補助の動態的調整メカニズムを充実させることにより、水稲、小麦、トウモロコシ、綿花の良質種子への補助を全国に行き渡らせるとともに、大豆の良質種子への補助を東北地区で全面的に実施し、ジャガイモ原種栽培への補助の試行作業をスタートさせ、農機具購入への補助の適用範囲をすべての農業・牧畜業県まで広げた。これらの諸事業に振り向けた補助金支出は計一一二三億五〇〇〇万元であった。土壌診断に基づく配合肥料使用への補助の適用範囲がすべての農業県に拡大された。六五億元を計上して、現代農業の発展を促した。農業の総合開発に一六五億元を振り向けて、約一七七万ヘクタールに上る中・低収農地の改良と高基準農地の造成を助成し、食糧の総合生産能力を三二七万三〇〇〇トン増やした。農業保険料への補助金として五九億七〇〇〇万元を計上したことにより、農家の保険加入件数は累計で延べ一億二七〇〇万となった。農村の低所得者層に対して貧困脱却扶助政策を全面的に実施すると同時に、貧困脱却扶助基準の引き上げに一九七億三〇〇〇万元の補助金を振り向けたため、貧困脱却扶助対象者数は四〇〇七万人に達した。農村、農業のインフラ整備への投入強化に一一六八億七〇〇〇万元を計上して、「南水北調」などの重要な水利プロジェクト建設への支援に力を入れ、三九七〇の大中型ダムと重点小型の老朽ダムの補強工事に取り組むとともに、農村の飲用水安全プロジェクトを実施し、これにより六〇六九万人に及ぶ農民が恩恵を受けた。中央財政の森林生態効果補償基金の支援を受けた国家レベルの公益林面積は約六九九三万ヘクタールに拡張された。
⒉教育支出は一九八一億三九〇〇万元で、予算の一〇〇%を達成し、三七七億六九〇〇万元増え、二三・六%伸びた。内訳は、中央レベルの支出五六七億六二〇〇万元、地方への移転支出一四一三億七七〇〇万元である。農村義務教育経費保障メカニズムの改革に六六六億一〇〇〇万元を振り向けた。これにより、全国の農村で義務教育を受けている一億五〇〇〇万人近くの児童・生徒の学費・雑費が免除され、教科書も無償で給与され、中西部地区においては、農村部で義務教育を受けている家計困窮寄宿生約一一二〇万人に生活費補助が支給された。都市部で義務教育を受けている児童・生徒の学費・雑費が免除され、「農民工」(出稼ぎ農民)が都市部に連れてきた子供八八〇万人の就学問題の解決にあたって、地元政府の受け入れ条件を満たす児童・生徒のすべての学費・雑費、越境通学手続き料を免除するために、補助資金を五一億七〇〇〇万元計上した。義務教育学校の業績給制度は着実に実施されている。全国において小中学校の校舎安全プロジェクトを始動させるため、八〇億元を支出し、一億二〇〇〇万平方メートルの校舎を修理、改築した。職業教育実践・訓練拠点等の整備の強化に一一億三〇〇〇万元を振り向けた。中等職業学校における、農村の家計困窮学生と農業専攻の学生約四二六万人の学費を免除するために、補助金を二四億元計上した。品行・学業ともに優れた学生及び家計困窮学生を対象とし、全国の大学と中等職業学校それぞれ約四七〇万人と一一二〇万人に計一六二億三〇〇〇万元の国による奨学金・学資援助金を支給した。二〇〇九年九月一日より、国立大学の博士課程院生向け一般奨学金基準を月額二四〇元~二八〇元から一〇〇〇元に引き上げた。国立大学の債務負担を軽減する試行作業をスタートさせるため、補助金として一〇三億元を計上した。高等教育の発展を促進するため、「二一一プロジェクト」の実施などに四二〇億元を計上した。
⒊医療衛生支出は一二七七億一四〇〇万元で、予算の一〇八・二%を達成し、前年度より四二二億六九〇〇万元増え、四九・五%伸びた。予算を上回った原因は主として末端の医療衛生支出を増やしたことにある。内訳は、中央レベルの支出六三億五〇〇〇万元、地方への移転支出一二一三億六四〇〇万元である。医薬・医療衛生体制の改革を積極的にサポートするために、中央財政は一一六二億元を支出した。新しいタイプの農村合作医療と都市部住民基本医療保険の加入者数はそれぞれ八億三〇〇〇万人と一億八〇〇〇万人に上り、財政補助金基準額は一人当たり八〇元に引き上げられた。閉鎖または破産した国有企業の定年退職者のうち、基本医療保険未加入者が地元の都市部職員・労働者基本医療保険に加入することを支援した。都市農村の医療救済を強化し、生活難を抱えた都市農村住民の保険加入を助成することにより、彼らの医療費負担を軽減した。三〇%の末端医療衛生機構で基本医薬品制度を実施した。末端の医療衛生サービス体系を健全なものにし、二万九〇〇〇の郷鎮衛生院及び五〇〇〇の中核的郷鎮衛生院の整備をサポートした。都市農村において、基本的公衆衛生サービス経費保障メカニズムを確立し、充実させ、重要な公衆衛生サービスプロジェクトを実施した。