「道義的に有利な位置」と「実用主義」のダブル効果を手中に収めたいのなら、いわゆる「自由」を口実にするのは、おそらく上手い選択だ。
クリントン米国務長官は先日、「ネットの自由」に関する演説で、中国に4回言及し、中国のインターネット管理政策を非難したうえ、「制限を受けないインターネットへのアクセス」を外交政策の最重要課題とする方針を表明した。クリントン氏の「ネットの自由」プロパガンダは、巧妙なものと言えよう。「ネットの自由」という主張に、誰が敢えて公然と反対するだろうか?誰が敢えて自らを自由と対立する側に置くだろうか?
これはまさに、彼女が就任直後から主張してきた「スマートパワー」だ。道義的に有利な位置に立ち、「ネットの自由」を売りつける。他国に直接干渉した時のように反感を買うことがないばかりか、批判対象を道義的に貶めることで、筋の通った事も筋の通らないように見せてしまう。
だが、その道義的に有利な位置が現実の裏付けを欠く場合、最終的に自らの足場を失うことは避けられない。グーグルへの攻撃について言えば、中国に徹底調査を呼びかける前に、米国は自国のハッカーによる攻撃の問題も調査してみただろうか。少し前に、中国最大の検索エンジン「百度」が攻撃に遭ったが、そのドメイン登録業者は米国のものだった。
米国の「ネットの自由」に目を向けてみよう。ネットポルノ規制のため、米国の「児童インターネット保護法」は、全ての公共ネットワークリソースにポルノフィルタリングソフトのインストールを義務づけている。脅威に対処するため、米国防総省はサイバー司令部を創設した。米同時多発テロ以降、米国は「愛国者法」を制定し、警察機関に公民の電話やEメールの通信記録を調査する権限があることを明確にした。米国の多くの地区では、ウサマ・ビンラディン氏の声明をよく放送するテレビ局「アルジャジーラ」とそのウェブサイトが「米国民の感情を傷つける」としてブロックされている。
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