オバマ政権の下で公表された「核状況報告書」は全世界の専門家の強い関心を呼んだ。平和を熱愛する人びとはオバマ氏が、小ブッシュ氏の「単独主義」といった武力至上の考え方から抜け出すことを願っている。「核のない世界」という考えを打ち出したことで、オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞した。
先ごろ米国防総省が公表した「核状況報告書」は、「核ゼロの世界」という概念を推し進めたものなのか。フランスの戦略分析研究所長で、新ソルボンヌ大学戦略問題研究所のフランソワ・ジェレー所長は報告書の持つ深みを解読することで、核ゼロの背後にある理論は一体どこにあるのか、と考えた。「文匯報」が伝えた。
「だが、この一手は非常に危険だ」。ジェレー所長は「世界報」への寄稿文の中で、「米国の『通常兵器による大量破壊攻撃』に対応する場合、その他の国は核兵器を除けばほとんど選択肢はない。その結果は、まさにオバマ氏の宣伝と相反する可能性が高くなる、つまり、より多くの国が、自国の安全を確保するため核兵器の保有を模索することだ。一方、核大国は、米国からの攻撃を避けようとするなら、2つの選択しかない。米国と共に通常兵器の軍備競争を行うか、でなければ米国の軍事面での絶対的優勢を受け入れるか。こうした国々が、米国が絶対かつ通常かつ優勢である状況において、「核ゼロの世界」に思いを寄せ受け入れることはないだろう。
「核兵器に関する理論は、使用しないことを威嚇戦略の基礎として確立されたものである」。さらにジェレー所長は言う。「その理論は、全世界の普遍的かつ絶対的な平和を保証することはできないものの、むしろ戦争のエスカレートの仕組みを予見したり、その解決策を導入したりすることができる。グローバル化された今日、核兵器が戦争による大量殺戮を防いでいるのである。満足できずしかもリスクに直面していても結局、平和な時代にある人は、このことを忘れてはならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月13日