論評:ギリシャ債務危機が改革の原動力に

タグ: ギリシャ  EU

発信時間: 2010-05-14 15:18:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

欧州連合(EU)はこのほど、ギリシャ債務危機の拡大を防ぐため、国際通貨基金(IMF)との合同による総額7500億ユーロの緊急支援制度の創設を打ち出した。債務危機に陥るおそれのあるすべてのユーロ圏国を支援し、「すべてをいとわずに」ユーロの安定を維持する考えだ。

債務危機の発生はEU内外に大きな影響を与えた。ポーランドはギリシャ債務危機にかんがみ、ユーロ導入を急がない方針だ。

EU統合のプロセスは「拡大」と「深化」の両翼からなる。拡大の中で深化し、深化の中で拡大する。このことから拡大EUと中核EUの区別が長年存在してきた。中核EUとはまず、欧州統合の「エンジン」と称されるドイツとフランス、次にいくつかの「古いEU」国、特にユーロ圏国を指す。これらの国々は欧州統合プロセスを推進し続ける中核的パワーだ。中核EUの外にはユーロ未導入の中東欧諸国などがある。債務危機による内外条件の変化によって、こうした国々はユーロ導入を延期せざるを得なくなった。

深化の面では、EUは元々、「EU憲法」の簡略版とされる「リスボン条約」の発効後、EU統合のプロセスがさらに深いレベルでの政治的統合、外交・防衛統合、社会統合へ突き進むと考えていた。だが債務危機の発生によって前進の歩みが一時停滞し、欧州経済通貨同盟の構造的欠陥についての再考を迫られている。たとえば、統一の通貨政策と統一されていないマクロ経済・財政政策との間の調整の難しさがある。では、EUとIMFによる緊急支援制度は永久的な制度として、将来の欧州債務危機の原因を除去できるのだろうか。答えは否だ。この制度は応急処置に過ぎず、抜本的治療ではないからだ。このため、どのようにして各国のマクロ経済と財政政策の協調を強化するか、各国の赤字・債務情況を監督し、厳しい処罰を実施するかが、特に重要と思われる。

EUの各メディアが指摘するように、債務危機はEUに「マーストリヒト条約」の改正、「安定・成長協定」の一部条項の再検討を迫っている。各国の債務発行や財政予算の改革、さらには各国の経済主権の再調整も必要だ。債務危機はEUに改革の加速・強化を促している。危機の洗礼を受けるたびに、EUは前進への曲がりくねった道の上で、時に後退を余儀なくされてきた。だが後退は失敗ではなく、より力強く前進するためのものなのだ。欧州統合のプロセスは、曲折の中で前進するという軌跡を常にたどってきたのである。

「人民網日本語版」2010年5月14日

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