日本の大衆文化の影響は大きい
今の台湾人が日本の大衆文化の影響をどれほど多く受けてきたかを語る際、当時の皇民化教育による影響と関連付けたがるが、大衆文化の影響力と政治文化の影響力はまったく異なるものだということが認めなければならない。1990年代以降、台湾の経済環境は、台湾人の消費能力を映すものであった。当時、日本の大衆文化は非常に発展しており、海外にその文化が伝播されていた。これは日本の大衆文化が当時の台湾の若者たちに注目されていたというだけでなく、台湾が自身の大衆文化を花開かせようとする際に、日本の大衆文化の発展はかなり手本にされたはずである。このような文化が伝わり広がることは、政治文化と大きく異なるものである。当時、台湾人の日本の大衆文化への傾注は、昔、台湾で一世風靡した「香港ブーム」や、現在の「韓流ブーム」と根本的に同じである。
「台湾民衆の対日観の研究」における調査結果から、親日感情を持っている台湾人の年齢層は40歳以下が主体であることが分かる。学歴的には短大卒レベルの回答者の割合が高い。30~40歳の台湾人は1990年代に青春期を過ごしており、この時期はちょうど、台湾の経済環境、大衆文化発展の背景など一つ一つが日本と関連するものである。日本に関する情報元を尋ねた調査データによると、主にテレビ(41%)、インターネット(12%)、新聞や雑誌(12%)であり、家族や学校教育によるものではないことが分かった。
1990年代に青春時代を過ごした世代は、反日教育を受けていない。当時の学校教育で求められたのはローカル化であった。また、大衆文化も多岐なものになっており、日本の大衆文化が唯一の秀でたものではなくなっていた。日本への認識も、もうそれは植民地支配を行った過去の日本のイメージではなく、今の日本がどうなっているのかの認識がより重視されるようになっていった。「祖国化」「脱植民地化」の反日教育はすでに過去のものであり、彼らの年代が学校教育において知り得た日本は、年配者の口から聞く「中国を侵略した日本」ではなく、「台湾を半世紀にわたって支配した日本」であった。このような土台、プラス、今の台湾の経済成長のおかげで、若者の大衆文化への選択が広がり、日本への認識は若者自ら得るようになった。彼らが傾注した日本の大衆文化は、台湾の社会文化に大きな影響をもたらしただけでない。個人的な対日感も徐々に、台湾大衆の対日感として凝縮していった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年10月8日