温家宝総理は2日から9日にかけてギリシャ、ベルギー、イタリア、トルコを公式訪問し、第8回アジア欧州会議(ASEM)首脳会議、第13回中国・EU首脳会議に出席した。また、ドイツへの電撃訪問も行った。
8日間の5カ国を訪問し、70以上の日程をこなす。グローバルな試練、2国間関係、重大な問題、協力事業。演説、会談、面会、懇談会、視察----。びっしりと詰まったスケジュール、豊富な内容、多様な形式。中国外交にとってまた新たな、ハイライト続きの舞台となった。
■艱難汝を玉にす
中国にとって、自らの課題をしっかりとこなすことは、世界に対する最大の貢献だ。世界金融危機の強烈な衝撃を前に、中国は経済成長促進のパッケージ・プランを果断にも実施し、幾重もの困難の中で血路を切り開き、世界に先んじて経済の下げ止まりと回復を実現し、世界経済の回復を力強く先導した。2009年の世界経済の成長に対する中国の貢献率は50%に達する。欧州連合(EU)は同年、他の国々への輸出が大幅に減少する中、対中輸出は4%増加した。
世界に対して約束を果たした中国は、驚きと羨望の目で見られると同時に、様々ないわれなき非難の的にもなった。「重商主義」「人民元の過小評価」「投資環境の悪化」「レアアースのコントロール」等々、一つに止まらなかった。経済的利益によるものもあれば、政治目的によるものもあり、風潮に乗じて騒ぎ立てているものもあった。
物事を本来の姿に戻し、本当の中国を世界に理解させる。協力の基盤は意思疎通と理解だ。温家宝総理はこうした信念を胸に欧州を訪問した。
「私個人は決まり文句が余り好きではない」「腹蔵なき発言を許していただきたい」----。10月6日の中国・EUビジネスサミットで、原稿を傍らに押しやり、即興で演説を行った温家宝総理に、会場に集まった500人余りの企業家たちからは熱烈な拍手が何度もわきあがった。
「今回の会談は私が開催を主張し続けてきたものだ。それはあなた方を説得したいからだ。あなた方と良い話し合いが持てることも信じている」----。10月5日午前8時、温家宝総理は滞在先のブリュッセル市内のホテルでこう前置きし、ユーログループ「トロイカ」首脳陣との会談に入った。「われわれは中国に圧力をかけることには賛成しない。対話を通じて意思疎通を強化し、溝を埋めたい」。EU側は人民元切り上げ圧力の「大合唱」に加わる考えはないことを明らかにした。
10月5日夕方、ASEM首脳会議を終えたばかりの温総理は疲れも顧みず、慌ただしく特別機に乗り込むとブリュッセルからベルリンへ飛び、ドイツ側の用意したヘリコプターに乗り換えてメーゼベルクの迎賓館に到着した。今回の会談はメルケル首相側から提案された。メルケル首相は温総理の誠実さと毅然とした姿勢に心を動かされたのだ。両首相の率直で誠意ある会談は2時間以上にわたり、温総理がブリュッセルに戻った時にはすでに真夜中になっていた。