そして、アジアこそが「F-35」のもっとも有力な販売市場となったのだ。現在、日本とイスラエルはすでに購入に向けての具体的な行動に出ており、今後更に現実味を帯びてくるだろう。
韓国やインド、東南アジアの国々も近い将来、「F-35」の顧客になることは十分あり得る。なかには現在、実際に米国の「F-16」を使用している国も少なくない。戦闘機の買い替えを考える時期が来れば、「F-35」は実に魅力的な候補となるだろう。
「F-35」の購入、経済への影響大軍事品は戦争のためのものだ。「F-35」を大量にアジアに販売することは、アジアに得になるどころか災いを呼び起こすことになる。即ちアジアの軍拡競争を誘発する恐れがあるのだ。「F-35」がアジアにもたらす影響はそれだけではない。
1970年代以来、アジア経済は著しい発展を遂げてきた。GDPで米国を追いかける日本を始め、発展途上国の中でも急速に経済成長を果たしたNIEs(新興工業経済地域=香港、シンガポール、台湾、韓国)、極めつけは劇的な発展をした中国経済だ。これを見た世界トップの国々は「アジアがこのまま発展を続けたら、自分たちの世界での主導権を脅かすことになりかねない」と不安を感じ始めたのだ。