G20は歴史の浅い、未成熟の議論の場だ。常設機構を欠き、加盟国間の平時の意思疎通が不足し、通貨戦争のリスクやこれと根を同じくする貿易バランス問題について、さらに十分な意見交換や踏み込んだ議論を行うのには適していない。これと比べるとAPEC首脳会議は、会期ではG20首脳会議と大差ないが、各国はこの枠組みにより適応し、熟知しており、駆け引きをしたり、妥協点を模索するのにより適している。
G20と異なり、APEC首脳会議の出席者はより行動力を備えている。彼らは通貨の流動性、為替相場、貿易赤字の問題について議論する中で、言葉だけではなく実際の行動者としての役割を演じる事が多い。彼らはより激しくぶつかり合うし、その妥協もより実際的で有意義だ。
首脳会議の成果から見ると、これら「本当の焦点」の面で、各国は同様に虚が多くて実が少なく、コンセプトはあるが細部を欠き、共通認識はあるが実行されない計画やタイムテーブルについていわゆる「一致」をしているが、こうしたシンボル的な「一致」すら困難なG20と比べると、まだましだと言えよう。
通貨問題も貿易バランスの問題も、不景気が続き、各国共に経済回復・雇用・インフレの3大圧力を抱えている現状では、自国の経済戦略と社会安定、各国指導者の政権基盤に関わる原則的な問題だ。こうした問題において妥協を達成し行動に移すのは、元来極めて困難なことだ。APECが時代に応じて変化し、こうしたより切迫した、より重要な問題に焦点を移しても、横浜首脳会議により多くの成果を期待するのは、明らかに非現実的だ。
「人民網日本語版」2010年11月16日