『環球時報』がこのほど、『アジアは米国の「スマート・パワー」に警戒すべし』という社説を掲載した。主な内容は次の通り。
ヒラリー・クリントン米国務長官は、1年以上前に「スマート・パワー」という外交の基本理念を打ち出た。この間、米国経済には殆ど回復が見られなかったが、「スマート・パワー」はクリントン国務長官率いる国務省によって鮮やかに用いられ、アジアでは、今日既に米国の「スマート」な手法が非常に明らかに感じられる。
中日間の釣魚島を巡るいつもの紛争が、先頃には近年稀に見る両国間の危機となり、中日が小泉元首相時代以降に苦労して少しずつ積み上げてきた外交成果はほぼ無に帰した。中国の南方においては、中越関係は長年安定していたが、突然、ハノイ(東アジアサミット)が東南アジア諸国と中国との島礁領有権紛争の討論の中心となった。これは、単に中日間或いは南中国海の国々の間だけの問題なのだろうか。勿論そうではない。
今年7月、ハノイで中国の東中国海政策について公開質問を行ったのは、他でもないヒラリー女史である。釣魚島沖衝突事件の発生後、米国は「釣魚島は日米安保条約の適用対象」との見解を表明し、日本の強硬姿勢を後押しした。興味深いのは、その後に日露間で発生した同様の領土問題危機について米国は、日米安保条約は北方四島には「適用されない」との見解を示し、日本はロシアに対して急速に軟化した。こうして見てみると、米国は中国に対しては、特別に「世話をやきたい」らしい。