文=江蘇連雲港発展研究院長 孫培松
資料写真:空母「ジョージ・ワシントン」
米空母がとうとう黄海へやってきた。連雲港に暮らす私には、米国の中国に対する威嚇がひしひしと伝わってくる。
黄海とは長江の河口から済州島へ伸ばしたラインの北側海域のことである。私は黄海の西岸に住んでおり、海を隔てた向こう側に韓国がある。黄海は浅水海域であり、軍事演習が行われるこの小さなエリアは、中国からも目と鼻の先である。私の感覚では、米国空母戦闘軍はすでに我々の目の前まで迫ってきている。無数の巡航ミサイルを携えていることを差し引いても、艦載航空兵が攻撃を仕掛けてくることになれば、爆弾を投げてくるのに40分とかからない。外界は中国の脅威ばかりを強調するが、私が真っ先に感じたのは米国の中国に対する脅威である。
しばらく地図を眺めていると、いくつかの疑問が浮かんできた。第一に、国家戦略において海軍に振り分けられる任務とは一体何なのか。米国はなぜ、中国海軍を恐れることなく空母を中国近海に押し込んできたのだろうか。
第二に、中国海軍は沖縄と宮古島の間から国際海域に入っただけで、外界から海上侵略者のように捉えられている。まるで中国海軍は中国でじっとしていろといわんばかりだ。米国は黄海での軍事演習に当たって中国の国民感情を考えたことがあるだろうか。もし、中国海軍がキューバとともにメキシコ湾で軍事演習を行ったら、米国はどう思うだろうか。