戦略の重心を東に移動させた目的は?
現在、米国はアジア太平洋地域において常時10万人前後の軍事力を保持すると共に、航空母艦、原子力潜水艦、イージス艦、戦略爆撃機の半数以上をアジア太平洋地域に配備しようとしている。米の軍事専門家ロゾフ氏は、アジア太平洋地域における集中的な大規模軍事演習の実施に伴い、米国はその地球規模の軍事戦略の中心を東に移す速度を速めている、と中国青年報の記者に語った。
米の軍事専門家ジョン・パトリック氏も取材に答えて、次のように語った。米国がアジア太平洋地域でこのように集中的な軍事演習を行う目的は、決してその戦闘力の増強だけではなく、より重要な目的は、他の国家を抑制することである。米国は演習に際して、演習が「平和」的性質のものだと繰り返し強調するが、米国がアジア太平洋地域での軍事的存在感を強め、それによって自国の「世界戦略」を実現することこそが、真の目的なのである。
また、パトリック氏は次のように指摘する。米国防総省の意思決定者達は一貫して、合同演習が最も現実的な抑止手段であると考えている。一方では、実力を示して相手を抑制するという目的を達し、相手が戦争を始めたり、米国に対して戦いを挑むことができないようにする。また一方では、相手を軍事的対峙に引き入れることで、その軍事的実力及び戦略思考を測るのである。
ロゾフ氏によれば、米国がアジア太平洋地域において集中的に軍事演習を実施するのには、中国を抑制するという意図があり、特に注意すべきは、東南アジア、南アジア、中央アジアであろうと、東アジアであろうと、ほぼ全ての軍事演習が中国を取り囲んで行われていることである。「米軍が演習を行う地域だけを見ても、仮想敵が誰であるかは言わずとも明らかである。勿論、復活しつつあるロシアの軍事力も軍事演習の目標ではあるが、それについては、米国があまり顕著に示していないだけである」と、ロゾフ氏は語る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月15日