香港紙『大公報』は近頃、「日本の外交は、第三者が見ても分かり難く、更には理解できない」との評論を掲載した。理解できないというのは、決して日本外交が深い哲理や要義を含むからではなく、むしろその真逆で、その浅薄さゆえに理解ができないのである。内閣閣僚の発言や行動の裏に何の思惑もないほどの浅はかさで、厳粛な外交議題がただの「政治ショー」になってしまう。
この評論の概要は以下の通りである。
「傍目八目」(中国語で“当局者迷、傍観者清”)という言葉があるが、それは、一つの物事に対して、冷静で客観的な第三者は、往々にして当事者よりも広範に正確に物事を捉えることができるという意味である。しかし、日本外交については、当事者と同様に、第三者が見ても分かり難く、更には理解できない。理解できないというのは、決して日本外交が深い哲理や要義を含むからではなく、むしろその真逆で、その浅薄さゆえに理解ができないのである。内閣閣僚の発言や行動の裏に何の思惑もないほどの浅はかさで、厳粛な外交議題がただの「政治ショー」になってしまう。国際舞台においては、菅政権が何をしたいのか、日本を何処に導こうというのか、よく分からない。
第三者にはよく分からない、それ以上に、当事者は迷走している。日本の最新の世論調査では、菅内閣の支持率は25%にまで下落し、内閣が発足した今年6月以降の最低記録を更新し、既に政権運営は危険地帯に突入している。半年前を振り返ってみれば、菅内閣の発足当時の支持率は64%にも達し、その1カ月後には参院選挙の敗北で支持率は38%に急落したが、9月の内閣改造で菅直人首相は起死回生を遂げ、内閣支持率は大幅に回復して66%という最高記録を達成したが、その後は急落の一途を辿り、政権維持の危険水域といわれる30%より5ポイントも低い現在の状態に至っている。
菅内閣の支持率の大幅下落の原因は、勿論のこと、国内経済の回復に何の成果も見られないことにあるのだが、外交上の失策という要素も決して看過できない。前原外務大臣がヘリコプターの上から北方領土を遠く眺め、菅首相が「帰せ!北方領土」という鉢巻を巻いて公に見栄を切っていた頃、金銭スキャンダルで起訴された民主党の権力者小沢一郎ですら見るに耐えかねて、「(菅首相の政権運営について)もう、しょうがないと思っている」と冗談交じりに語った。