米華字紙「世界日報」の社説はこのほど、日本が「領土問題」や「中国の軍事力」に焦点を当てているのは、国民の奮起を促し、アジア一の座を奪還するためだと伝えた。さらに、日本は自らの貴重な財産と経験を十分に認識していないと指摘した。文章の抜粋は次の通り。
中日の第11回次官級戦略対話が20カ月ぶりに東京で行われた。過去1年余りで中日間は情勢が急変。二国間には解決の難しい問題が存在している。さらに重要なのは、最近順位が逆転したものの、中国と日本は世界第2、第3の経済大国であり、両国の関係が崩れると、地域の安定、さらには世界経済の動向にまで影響することだ。また、この隣国は世界で最も複雑な関係を経験し、その方向性が世界の他の国を啓発することになるだろう。
もちろん日本は今回の戦略対話を優位に進めることができなかった。それは経済力の問題だけでなく、日本政府の地位が安定していないことが大きい。菅内閣の支持率は過去最低となり、民主党内の分裂も顕著になっている。こうしたことが菅内閣の執政能力を大きく引き下げている。
日本が常に「領土問題」や中国の軍事力に焦点をあてるのは、そうすることで日本国内の「民族主義の熱」を鼓舞し、アジア一の座奪還に向け国民の奮起を促すとともに、日本が「中国の発展のバランスをとる」のに貢献していると世界に訴えるためだ。
実際、日本は戦後、奇跡的な経済成長を遂げ、米国に“NO”と言える実力をつけた後でさえ、誤った方法で日本の栄光を世界に示してきた。過去の歴史を覆すことで敗戦の屈辱が洗われ、領土問題に固執することで戦争中に失った栄光を取り戻せ、天皇を担ぎ上げることで再び国民の求心力を集められると考えている。しかしこうした誤った考えと努力が日本を間違った方向に導き、軌跡的な経済成長が日本にもたらした歴史的チャンスをムダにし、アジアから遠ざかってしまった。
日本は戦後の貴重な財産と経験を十分に認識・総括していない。そうしたソフトパワーは経済力よりも重要だ。戦後の合理的な分配制度により日本の国民は豊かになった。日本経済は数十年低迷を続けているにもかかわらず、社会は依然安定している。日本の市民や社会、地域は成熟し、社会的マナーがあり、国民の素養は高い。この点でアジアの他の国は日本の足元にも及ばない。日本が中国と付き合う中で方向調整を図ることに期待したい。そうすれば日本にとっても、中国ないしアジアにとってもプラスとなる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月8日