利潤の最大化の追求という資本主義の本質により、企業は更なる利益か更なる安全かを選択する際、往々にして習慣的に利益追求に傾向することになり、それが意図的なものではなくても、客観的に見て安全保障を低下させる。東京電力が非難を受ける点の1つが、正に、設備の老朽化である。例え、企業が安全の確保に全力を尽くしたとしても、「万が一の事態」が生じてしまえば、企業もその責任を取る能力があるとは限らない。
現在、企業の行為に対する制約は、依然として、各国の法律の枠組みの下での自主監督に限られている。企業には企業の利益があり、国家にも国家の利益があり、国家による監督に国家の利益が考慮されるのは避けられない。このことから分かるのは、全人類的な安全が変化に直面する中、現在の安全保障レジームにはまだ明らかな不足があるということである。
今回の地震による放射性物質の漏洩が欧米先進国で高い関心を集め、多くのメディアが絶えず報道し続けるのは、ある程度においては、世界で最も安全な国の1つと見られていた日本で事故が発生したことに理由がある。日本は科学技術、環境問題、国民意識、制度建設等の面で卓越した水準にあるが、しかし、今回の放射能危機は一国家における問題が露見したものというより、全世界の技術監督に対する警告というべきだろう。
現在の世界的安全保障の国際メカニズムは、相応の分野において、確実に大きな役割を果たしていることは認めなければならない。例えば、国際原子力機関は今回の危機において積極的な役割を果たし、国連気候変動会議といった機構も全力で関連の地球的問題の調整を行っている。直視しなければならないのは、現在の国際レジームは局部的な安全問題、目に見える安全問題に対応するのみで、新しいタイプのバイオ製品の不確定な副作用、化学工場の環境破壊性の汚染など、未知の潜在的な危険に直面するにあたっては、早急に、全人類の安全を支援する国際レジームを構築することが必要である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月14日