「環球時報」の5月17日の報道によると、ロシアなど8カ国がこのほどグリーンランドのヌークで開いた北極評議会(AC)の閣僚会議で、北極圏の周辺8カ国は同地域の開発事業の「特権」を持っていることが強調された。また会議は、同地域以外の国によるオブザーバー参加について討論した。「ボイス・オブ・アメリカ」などの西側メディアは、ロシアや米国などは中国、インド、韓国に北極圏の「パイ」を分けたがっていないと見ている。
「ボイス・オブ・アメリカ」は15日、今会議では法的効力を持つ事故時の捜索救助活動に関する条約が締結されたほか、オブザーバーの職責と権限、オブザーバーの地位獲得の手順が決定したと伝えた。オブザーバー参加を望む国は、AC加盟国が北極圏での主権を握り、その権利は科学研究への参加やプロジェクトへの金融援助などに限られることを認識しなければならない。
報道は、これらの国は中国の北極進出を阻止したい考えだとしている。また、ロシアのエネルギー財団トップのシモノフ氏の発言を引用し、中国の近年の活発化する北極圏での活動はロシアを警戒させていると伝えた。中国はロシアの北極海沿岸を通る航路に高い関心を示している。この航路を使って貨物を中国から欧州に輸送できるためだ。ところが、ロシアは北極は自身の勢力範囲で、多くの国が入ることを望んでいない。シモノフ氏は、「ロシアだけでなく、北極圏周辺のカナダ、米国、ノルウェー、デンマークも同じ考えだと思う」と話す。
ロシア紙「コメルサント」は14日、北極圏以外の国が同地域での開発に参加する機会について、今会議で合意には達しなかったと報じた。ロシアのある代表は、オブザーバー参加を申請する国は増えており、中でも中国、インド、韓国は積極的な姿勢を見せていることを明らかにした。それは北極圏に新たなビジネスチャンスがあるためだ。しかし、これらの国の参加を認めればオブザーバー国は100カ国以上になり、その上これらの国はさらに多くの権利を求め、北極を全人類の財産にしようとする。
ある中国人学者は16日、「環球時報」の取材に応じ、「今回の北極評議会の閣僚会議は、一部の国が北極圏の領土を分割する前触れだ」と述べた。数カ国が北極圏周辺の国にだけ主権があることを主張すれば、1982年の第3次国連海洋法会議で採択された『海洋法に関する国際連合条約』を無視することになる。同条約は、各国は基線から12海里以内の範囲で領海の幅を定める権利を有し、基線から200海里の範囲内の水域において排他的経済水域を設定することができると定めている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年5月17日