アナリストは、南中国海問題を平和的に解決するには、第三勢力の介入の防止が必須だと指摘する。専門家の一部からは「米国はさらに軍事力に頼ってアジアでの主導的地位を確保しようとする可能性が高い。だが、こうした冷戦思考はその正反対の結果をもたらす。域内パワーの均衡がさらに崩れ、紛争がさらに起きやすくなり、米国の軍事力に頼る国々の内部をも不安定化させることになる」との声も上がる。
■アジアが冷戦構造に戻ることはない
一部アジア諸国は米国がアジア太平洋問題への関与を強化することを支持し、それが地域の地政学的な均衡維持に寄与すると考えている。シンガポールのウン・エンヘン国防相はゲーツ米国防長官との会談で、アジア太平洋における米国の軍事的プレゼンス拡大への支持を重ねて表明した。
呉心伯氏は一部の人が「経済的には中国に頼って儲け、安全保障上は米国の保護に頼る」という複雑な心理状況にあることは認めた上で、アジアが冷戦時代の両極構造に戻ることは現代の環境ではあり得ないと指摘する。
シンガポール紙「聯合早報」は社説で「ASEANが最も望まないのは、中米間に『冷戦』に似た状況が出現することだ。対立する両大国に挟まれたASEANは進退窮まることになる」と指摘する。シャングリラ対話の開幕の式辞で、ナジブ氏も「従来型・非従来型の安全保障上の各種試練に直面しており、冷戦時代の両極化状態に戻ることはもはやできない」と表明。「中国も米国もわれわれのパートナーだ」と述べ、ASEAN加盟国に中米双方と同時に協力することを呼びかけた。また「ASEANは中国と米国を同様に重要な協力パートナーと見なすべきだ。両者間で選択する際にどちらか一方に偏るべきではない」と強調した。
「人民網日本語版」2011年6月8日