これは日本がたとえ最大の危機にある時でも、首相にして民主党代表である菅氏は、日本政治の原罪から逃れようのないことを物語っている。国政レベルで菅首相が背負わされている原罪は、新たに政権に就いた民主党は古参の自民党の前では子供に過ぎないということだ。09年の民主党政権発足以来、自民党はその失脚を図り続けてきた。小沢氏の政治資金や閣僚の失言から国会での法案審議や外交問題の処理まで、新野党として自民党は道理を楯に無理を強い続けてきたと言えよう。
菅政権発足後、民主党はますます、我慢して言葉を飲み込む若嫁のようになり、法案通過と政権維持のためには自民党の言いなりに甘んじてきた。自らを傀儡化するこのような政治的立ち位置は、危機を前にするといよいよ崩壊寸前となり、結局は表舞台から去る運命を逃れ得ないのだ。
党内政治のレベルで菅首相が否応なく背負わされている原罪は、資金力のある鳩山氏や権勢のある小沢氏の前では、自分はその姓の如く草のような存在に過ぎないことだ。
昨年末、菅首相は支持者を前に自分は首相の「仮免許」を持っているに過ぎず、今後は「本免許」に書き換えたいと打ち明けた。だが6月2日の夜以降、各方面の支持を失った菅首相は「仮免許」ですら遠からず返上しなければならない有様だ。