米誌「アトランティック・マンスリー」電子版は8月9日、「暴動 きょうは英国、あすは米国か」と題する評論を発表。ロンドン市民は放火と略奪の夜を何とかきりぬけ、政府の指導者らは8月の休暇を次々と切り上げ、キャメロン首相は街頭の警備を倍に増やすと発表し、専門家や評論家はようやくこの25年来で最も深刻だった都市の動乱の原因を探り始めた、と報じた。
●衰微しつつある国家
英紙「デイリー・テレグラフ」の評論「ロンドンの動乱、下層階級が引き起こす」は次のように伝えた。暴動に走る者を生んだ原因は、衰微しつつある国家、こうした者たちを完全に無視した冷淡な政治家にある。これはある程度、失業と政府の社会福祉削減のせいである。
真の根源は隠されている。ロンドンのこの数十年で最も深刻な暴動はまさにグロバール経済が急速に落ち込む恐れのある時に発生したが、これは決して偶然の一致ではない。米国の著名な経済学者J.K.ガルブレイスはその著作「大暴落1929」の中で衰退の原因を列挙している――収入の分配の不均一と商工業の「集団的窃盗」、銀行構造の脆弱、輸出入の不均衡。
すべてのこうした要素が再び作用を発揮し始めた。20年代のバブルでは、収入が最高である5%の人が全国民の収入の3分の1を占めた。今日の英国は、賃金や富、機会などの面でその後のいかなる時代に比べても不平等である。去年だけでも、英国の最も豊かな人1000人の財産総額は30%増え、3335億ポンドに達した。
眼下の経済危機はユーロ圏を中心としているが、この数代の続いた英国政府はむしろ貧しく、不平等かつ非人道的な状況を孵化し、金融の混乱がこうした状況に拍車をかけた。
●経済危機と人災は悪性の循環