東アジアサミット(EAS)が閉幕した。日本の野田佳彦首相が帰国すると、産経新聞は「日本の中国包囲網は不発」と批判的に報道した。
野田首相は今回の東アジアサミットを非常に重視し、自らの外交構想を実現する重要なチャンスだと捉えていた。今回のサミットで再び「金銭外交」を展開、「東アジア海洋フォーラム」を創設し、南中国海問題にさらに介入することで、同問題の多国化、国際化を徹底させようと試みた。
情報筋によると、野田首相は期待をもってバリ島に到着。フォーラムの創設構想について、日本の外務省は「異議を唱える国はないだろう。中国も表だって反対できない」と読んでいた。日本側は、フォーラムで協議するのも「航行の自由」や「国際法の順守」といった内容であれば中国も抵抗しにくいと考えていた。中国を名指しするわけではなく、中国は賛成はしないが、拒否もできない枠組みを構築する。日本の外務省のねらいはそこだった。
ところが、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のインドネシアは17日、「既存のASEAN海洋フォーラムを東アジア海洋フォーラムに発展させる案について関心を持って留意する」とした。そして最後に参加国はこれを共同声明に盛り込むことで合意した。こうして日本のフォーラム創設の提案は結局、今後のASEAN+3(中日韓)サミットの議題として取り上げず、棚上げすることになった。