中国鉄道の年間貨物輸送量、旅客輸送量はいずれも世界一である。中国鉄道システムにおける輸送密度も世界一で、鉄道輸送密度は3200万トンキロに達している。この数字は米国の約3倍、日本の2倍以上となっている。現在、中国の鉄道輸送量は世界全体の25%を占めているが、鉄道の長さはわずか世界全体の2%。既存の北京―上海鉄道の輸送密度は全国平均水準の4倍となっている。そのため、鉄道輸送の強化、とりわけ高速鉄道の発展は、中国の国情に合ったものである。
90年代初頭に、北京-上海鉄道は東北、華北および華東経済区の鉄道輸送の動脈として、全国の旅客輸送、貨物輸送において最も繁忙な幹線鉄道であった。北京―上海高速鉄道が通過する4つの省と3つの直轄市は、その土地面積は全国の6.5%に過ぎないが、人口は全国の26%を占めている。北京―上海鉄道沿線には、3つの直轄市、2つの省都所在都市、11の人口100万超の大都市が分布しており、経済力があり、けん引効果が極めて大きな経済枢軸が形成されている。したがって、その活力を維持するためにもスムーズな鉄道線を必要としている。
データによると、北京-上海鉄道の輸送能力はすでに経済の発展のニーズを満たしきれなくなっている。2005年の同鉄道線の平均旅客輸送密度と貨物輸送密度はそれぞれ全国平均水準の4.9倍と2.1倍となっており、輸送能力は約50%不足している。
「北京―上海高速鉄道の経済へのけん引に対する効果は当時の日本の新幹線を上回るであろう」。
「北京―上海高速鉄道関連重要経済問題」プロジェクト研究に参加した国家発展改革委員会総合輸送研究所の董焰所長はこう語っている。「日本の新幹線完成後、その沿線にはいくつかの産業ブロックが形成された。たとえば名古屋地区の自動車産業などである。これらの産業の形成と発展は沿線地域の経済の発展を促す上でいずれも大きな役割を果たした」。
中国共産党第十17回全国代表大会(「十七大」と略)の報告案では、「経済特区、上海浦東新区、天津浜海新区の中国の改革開放と自主的革新をさらに発揮させる」ということが提起されている。董焰所長は、北京―上海高速鉄道の建設はこれらの地域の経済の発展において巨大なけん引的役割を果たすことになるだろうと指摘した。氏はまた次のように分析した。江蘇省北部地域の発展は南部より遅れているが、北京―上海高速鉄道がこの地域を通過する予定であるため、同地域に大きな経済的活力を注ぐことになるだろう。江蘇省北部地域が廉価な労働力、土地などの資源を有することは、江蘇省域内の産業のシフトと産業配置における優位性である。