国内の鋼材価格がここ1カ月ほど上昇の一途をたどっており、鋼材の大手メーカーは価格設定に対して自信を深めている。国内最大の鉄鋼メーカー・上海宝鋼集団公司が10日発表した2010年1月の製品価格調整措置によると、冷間圧延と熱間圧延を含むすべての主流製品の工場出荷価格を引き上げ、引き上げ幅が最も大きい製品では1トンあたり600元の値上げが行われるという。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
鉄鋼業界組織・中国連合鋼鉄の胡艶平アナリストによると、宝鋼の今回の大幅値上げを後押しした要因として、順調な販売状況が筆頭に挙げられる。自動車業界組織・中国汽車協会がまとめた統計データによると、今年1-11月の自動車生産・販売台数はいずれも1200万台を突破し、通年では1300万台に達して過去最高を更新する見込みだ。自動車用鋼板はまさに宝鋼の主力製品であり、国内市場で約50%のシェアを占めている。自動車市場の隆盛を受けて、宝鋼はこのたびの価格調整で冷間圧延鋼板を1トンあたり550元引き上げるとしており、ここから自動車用鋼板の高いニーズがうかがえる。
販売状況が順調であるだけでなく、原材料価格の緩やかな上昇も、宝鋼の価格調整を後押しする要因となっている。国内の有名な鉄鋼現物取引のプラットフォームである「西本新幹線」によると、現在、二級製鋼用コークスの価格は、上海市エリアでは1トンあたり約1750元、江蘇省エリアでは同約1800元で、値上げ幅は累計50-100元に達する。鉄鉱石の価格は、金属情報サイト・連合金属網が発表した最新の情報によれば、10日の鉄含有率63.5%のインド産鉄鉱石の到着値段は1トンあたり104-105ドルに達し、今年8月に記録した110ドルの高水準にあと一歩と迫った。グローバル経済が徐々に回復するのに伴い、大口原材料への価格上昇観測が強まっており、宝鋼は価格設定に際してこの点も考慮しないわけにはいかなくなっている。
胡アナリストによると、国内最大手の鉄鋼メーカーとして、宝鋼の価格調整措置には当然業界の注目が集まり、他社が価格調整を行う場合の参考にもされる。今後そう遠くない将来、鞍山鋼鉄集団公司や武漢鋼鉄(集団)公司などの大手も1月の製品価格を相継いで引き上げ、市場で価格上昇局面を形成するものとみられる。
「人民網日本語版」2009年12月11日 |