5月の輸出入データは予想以上に楽観的なものとなったが、中国の貿易会社はコストの高止まりに直面し、憂いの声に満ちている。
労働力のコストが上昇し、人民元の実質為替レートが上がり、大口商品も値上がったことで、企業の利潤率を圧迫している。対外貿易成長方式の転換も受動的調整を受けようとしている。専門家によれば、この受動的調整を能動的調整にし、漸進過程の中で貿易の「格安からの脱却」と構造のレベルアップを実現しなければならない。
このところ、多くの省・市で盛んに賃金の値上げが行われている。今年4月1日、上海市における1ヶ月の最低賃金が960元から1120元に上がり、その後は、江蘇省、浙江省、広東省、天津市、山西省、山東省等の14の省や市で立て続けに最低賃金が引き上げられた。その引き上げ率は全て10%以上、中には20%を超えた省もあるという。
「中国経済の発展において、労働コストの上昇は避けられない。」中国人民大学経済学院の王晋斌教授は記者に対し、こう話す。中国経済における社会保障制度の改革は遅れており、また所得分配制度にも明らかな欠陥が存在している。要素所得の1次分配における比率は過去十数年ずっと下落している。そして、外資企業の労働弱者層に対する補償が長期的に不足している。よって、今回の労働コストの急速な上昇は、これら3つの問題を抱える中国市場にとっては、自主的に偏向を正すためのよいきっかけになると見ることもできる。
王教授はこう続ける。「賃金アップは、それによって労働者一人一人が経済成長の成果を分かち合うことができるため、中国経済にとっては良いことと言える。しかし、その一方で、この経済情勢における貿易会社のコストが跳ね上がったことは明らかで、短期的に見れば、輸出と貿易成長に大きな打撃を与えることになる。」
労働力コスト以外にも、土地、水道等の資源・エネルギー方面の投入コストも上昇している。「国際市場における原油や鉄鉱石等の大口製品も価格回復傾向にある。今年3月までの中国の一次製品の輸入価格は4カ月連続で2桁代の増加を見せており、その増加幅も月を追うごとに大きくなっている。」対外経済貿易大学の白樹強教授はこう語った。