ユビキタスネットワーク戦略とIOT戦略の予期せぬ一致
2004年、日本は国家情報化戦略としてユビキタスネットワーク戦略を打ち出した。当時はまだIOTという概念がなかったが、ユビキタスネットワーク戦略は期せずして、その方向性がIOTと一致していた。IOT理論と比べると、日本のユビキタスネットワークの概念はセンサーそのものから離れることができずに、ネットワークの概念を欠いたままでいるが、何と言っても既に動き出しているということが大きい。
実用性に関しても、日本は一定の成果を上げている。なかでも、IOTに基づいた地震感知予報システムが目覚ましい。
長年にわたって、地震予知は世界の科学界にとって大きな難題だったが、2007年10月に日本はセンサー型地震予知システムを正式に導入し、各関連機関がこれを無料で利用できるようにした。そして2008年6月14日、東北地方の岩手と宮城でマグニチュード7.2の地震が起きたとき、気象庁は本震の揺れが宮城県石巻市に達する12秒前に地震予報を発した。被災地域の住民に貴重な準備時間を与えたのである。
IOT技術が地震予知の分野で画期的な使用実績を生みだしたことで、情報化の新世紀が切り開かれたと言える。