一、水は「新しい石油」と言われるが、中国は早晩水不足に見まわれるだろう。『水:財産、権力と文明の勇ましい戦い』を著したスティーブ・ソロモンは、一人あたまで割ると中国人の淡水備蓄量はアメリカの約五分の一であり、しかも多くの部分が激しく汚染されていると指摘する。かたやアメリカの節水効果は着実に進歩している。中国は、工業・農業用水資源の使用者や清潔な飲用水の確保も満足にできない一般庶民による需要が日に日に増しているという問題に直面している。
二、中国はエネルギー需要が急速に増加しているが、国内には充分な資源がない。1995年以降、石油は国外への依存率が60%近くにまで上がっている。長年にわたり石炭輸出国だった中国が、今まさに、そのような時代遅れの燃料の輸入大国となりつつある。
一方でアメリカは、石炭や天然ガス、石油など未採掘の鉱物燃料資源を温存しており、カナダを含んだ北米のエネルギー資源は中東に次ぐ世界第二の埋蔵量である。
三、食糧は中国にとって切迫した問題である。水不足や広域汚染、高いエネルギーコストがいずれも、将来中国の食料生産の妨げとなるだろう。ある推計では、中国の三分の一の田畑が酸性雨の影響を受けることになるとされる。気候研究の専門家は、中国にとって極めて重要な稲作が長期的な不作におちいるだろうと予測している。
現在中国は洪水災害の影響で、アメリカとカナダの支援を受けてやっと最低限の食糧需要を満たしている。そして、食糧不足の問題は今後さらに悪化する恐れがある。多くの農作物に関して、やはりアメリカが世界で最も信頼できる供給国であると言えよう。