経済発展方式の転換は、経済領域におけるものであるが、それがもたらす関連性や影響力は経済領域を大きくはみ出すものであり、政治、社会、文化領域等、他の領域の改革に対しても新しい要求と期待を提起している。
会議の精神によれば、「十二・五」は各領域の改革を全面的に推進する。経済体制の改革促進に力を入れ、政治体制改革を積極的且つ安定的に推進し、文化体制及び社会体制の改革推進を加速する。
これは、今後5年間で中国が、各領域の一連の改革を通して、改革事業全体の発展を推し進めることを意味するとの見方もある。
中共中央党校党建教研部の王長江主任は、政府が改革に対し、各方面の協調性を強化していることが読み取れると言う。改革は、ある一方面のみでの改革ではなく、各領域で同時に行われる全面的な改革なのである。
中国発展の最大のボトルネックには、経済と社会発展の不調和が含まれており、小康社会の全面的建設の大きな足かせとなっている。
中国社科院社会学所の陸学芸研究員は、会議が提起した社会体制改革により、上部構造が更に下部構造の発展及び変化に適応し、科学の発展への有力な保障となったという。
また彼は、社会構造の調整や革新、社会体制の改革、社会管理の強化等が、都市と農村部の地域格差や貧富の差を縮小する上で有利に働き、経済と社会の均衡的発展や調和社会の構築を促進することができるとする。
会議では、民生の保障と改善、社会建設の強化、健全な基本的公共サービス体系の構築、就業促進及び調和のとれた労働関係の構築、収入配分の合理的調整、国民収入における住民収入の割合や一次配分における労働報酬の割合を高めること、都市及び農村部住民を全てカバーできる社会保障制度を整備することが提起された。
中共中央党校呉忠民社会学教授によれば、「十二・五」計画で最も重要な点は「強国」と「富民」をうまく合体させ、「蔵富於民(人民に富を与える)」を実現することであり、これは「改革発展の成果を全ての人民が享受する」理念を具体化したものであるという。
呉氏は、労働関係の安定が、中国の社会が今後調和のとれた発展を遂げることができるかどうかを決める重要な要素だとしている。労働関係の範囲を拡大し、合理化することが社会関係や社会構造の調整に大きく影響するのだという。
共産党政権運営力への試練